101 2005.10.26 『言語力』〜「文字・活字文化振興法」

(2005.12.11 Sun.掲載)
兄弟ブログの http://kokugo.jugem.cc/ 10月26日の記事
に「10月27日は『文字・活字文化の日』」というタイトル
で書き、詳しくはこのブログでといい、書きかけながら、
公開しそこねていた。
その後の動きも報道され始めたので、中途だが、書き下ろし
た時点の雑感を今日付けで公開しておこうと思う。
------------[以下、10月26日の書き下ろし]------------------
この夏(7月29日)、「文字・活字文化振興法」という法律が
公布・施行された。
そこでは「言語力」という語を用いて、「国語における読む
力及び書く力並びにこれらの力を基礎とする言語に関する能
力の涵養(かんよう)」を謳(うた)っている。
論理的文章であれば、読み、調べ、判断し、考え、書き、伝
える力の総合であろう。センター試験では、第一問評論であ
るし、近年多く採用されている小論文でもある。文学的文章
であれば、読み、感じ、考える力ということになろうか。い
うまでもなく、センター試験では、第二問小説である。
立法化は、OECD(経済協力開発機構)による「学習到達度
調査」などで、読解力の低下が指摘されていたことも背景に
あるようだ。
遅きに失した感はあるが、それでも今、日本語の文章を読み
書き生かす力にスポットライトをあてて重要性を訴え、具体
的に教育内容や図書館の充実などにおいて整備や推進をして
いく姿勢が明確に打ち出されたことは喜ぶべきだろう。公の
後ろ盾があってはじめて動きだしたり認知されたりすること
がまだまだ通例であるから。
長く受験指導に携わってきた経験からしても、英語を代表と
する他科目に比べて国語の取組みが軽視されがちであった点
には長く懸念していただけに、少しでも改善される兆しが
見えてきたことは喜びたい。
国語が(日本語で構成された)すべての科目の学習の基盤と
なるのは論をまたない。狭い意味での学習、知識習得だけで
なく、さらに発展的に、言語抜きには成立しない人生の各場
面において誰しも必要となる判断力や思考力、感性や教養を
身につけることにもつながっていく。
これまでないがしろにしてきた代償は大きい。言語力の隔絶
は、一世代を越えて存在し、拡大しつつあるように思える。
日常生活の一部のように読むことが当然であった新聞の購読
率が大きく下がっているともいわれる。ある大学の社会学の
教授の談話として、「学生が新聞さえも読まない時代になる
とは思ってもいなかった。この状況下では学部が成り立たな
い」という嘆きの声が福岡の地方紙のコラムに掲載されてい
た。新聞はメディアの一つに過ぎないともいえるが、基本的
なニュースや論評、記録などそこから得られるものは多い。
朝夕の日課として新聞を読まないという状況では、ましてや、
書籍を読むことから遠ざかっている人の数が増えているのは
自明である。あえて法律にまでしなくてはならないというこ
との是非は議論の余地もあるが、取り戻すきっかけとなって
ほしいものだ。
映画にもなったウンベルト・エーコ「薔薇の名前」に象徴さ
れるように、中世ヨーロッパにおいて、書は知であり、知は
力であった。日本においても江戸時代、寺子屋では、読み・
書き・算盤が学ぶべきことの柱であったし、さかのぼる平安
時代にも、写本という形で、知や情の共有・承継がなされた。
書物の恩恵はあまりにも大きい。インターネットを十数年に
わたって重用しその可能性を評価する私から見ても、まだま
だインターネットは未熟な部分も多い成長途中のメディアだ。
ブログ花盛りの今だからこそ、逆に、先達としての書に刮目
して対することが重要に思える。
かつて寺山修司は「書を捨てよ 町に出よう」といったが、今、
「ケイタイを閉じ、ゲームを止めて、書に親しもう」という
時であるようだ。

102 2005.12.12 文科省 新しい「読解力」を全教科で養成〜文学重視見直し

2005.12.12 Monday文科省「読解力」全教科で養成 西日本新聞11日付36面
昨日のエントリーで、OECDの学習到達度調査のこと、その流れでの
文字・活字文化振興法、文字・活字文化の日の制定のことなどを書い
た。
というのも、昨11日付けで、地元紙に下記の記事が掲載されたからだ。
以下、西日本新聞12月11日付け朝刊第36(子ども・学校・地域)面
より引用させていただく。
----[以下、引用]---------------------------------------
「読解力」全教科で養成
 文科省、文学重視見直し
文部科学省は、文学的な文章を味わう指導に偏りがちだった「読解力」
の定義を広げ、文章や資料、データを解釈し論理的に思考できる力を
養成するため、国語だけでなくすべての教科や総合学習を活用してい
く方針を固めた。「読解力向上プログラム」を作成、各小中学校に指
導資料を配布する。
昨年末に公表されたOECD学習到達度調査(PISA)で、論理的思考力
を含む読解力の低下が明らかになったことを受けた対策で、文科省は
「これからの時代に求められる読解力の養成には、教科の枠を越えた
共通理解と取り組みが必要だ」としている。
同省は「PISA型読解力」の養成を念頭に置いて、学習指導要領の改定
作業を進める方針。二00七年度に実施予定の全国学力テストの問題
作成にも反映させるほか、高校や大学入試問題の改善も促す意向だ。
PISA型読解力についての国民的な理解を広めるため、読解力向上委員
会(仮称)も設ける。
向上プログラムは、PISA型読解力について「わが国の国語教育などで
従来用いられていた『読解』という語の意味とは異なる」と指摘。単
に自分の経験や心情を述べるだけではなく、与えられた文章やデータ
に基づいて論理的に考える能力の必要性を強調した。
さまざまな機会をとらえて「読解力」を向上させるため、教科別に指
導法のモデルを提示。中学二年の数学では、インターネットの接続料
金プランから情報を読み取り、目的に応じて判断する力の養成を課題
とした。
--------[以上、引用終わり]--------------------------------------------------
以前にも触れたように、遅きに失した感はあるものの、「読解力」に
おいてあるべき方向転換が行われることはまずもって喜びたい。
メディア・リテラシーなどというまでもなく、「読み・書き・算盤」、
就中(なかんずく)「読み」は教育の原点であろう。読解対象となる
文章は本来多岐に渡る。趣味は読書、という時の書は小説や随筆、詩
の類いであろう。「読書百遍、意自ずから通ず」といえば漢詩・漢文。
今回焦点となっているのは論理的に組み立てられた文章や資料・デー
タ、そしてその読解と思考・判断、表現の力。文字・活字文化振興法
でいうところの「言語力」ということになる。
情報化、国際化の時代と言われて久しい。変化のスピードは加速する
一方である。これまでに経験しなかった事象や状態、問題に直面する
ことも増加する。その際に必要となるのが前述の「言語力」であろう。
論理的に読み、判断・思考し、さらには他者に説得的に訴えるべく表
現する力をもっていれば、未見の状況に対しても対処できる。社会は
人の集まりだ。集う人はそれぞれに個性的だ。もっている問題意識も
その方向性はさまざまであることが多い。認識の度合いも利害の方向
性も。しかし、論理を軸にすえれば相手を納得させられる。その上で
時に戦い、時に歩み寄って相互理解が進めば、解決の方向性を見いだ
すことも可能となる。その必要性はますます増加するばかりといえる
だろう。
あまりに英語がもてはやされすぎた感のある児童・生徒の学習である
が、小中学校〜大学入試までも対象にしての今回の教育変革、じつに
有意義な施策の方向性だと思う。肝心なのはもちろんその中身。指導
資料の出来如何はたいへん重要になってくる。期待したい。
ワードマーキング読解も、たいへん有効な「言語力」伸長の一メソッ
ドとして、その対象を小・中の児童・生徒にも広げる時期がきたとも
いえる。また、読解を端緒として、その先の思考・判断そして表現と
いう流れから、指導のもう一つの柱としての小論文指導も再開すべき
時だともいえそうだ。
あまりにも理不尽で感情的・刹那的な事件が増えてきている。これま
でないがしろにしてきたものが遠因となり現実化してきているのかも
しれない。
豊かな情感をもつこと、情操を育むことは人生においてたいへんに重
要だ。一方で、あまりに利己的な激情に流されてはいけない。まして
それによって常軌を逸した行動をとることは厳しく戒められなければ
ならない。
人間として理知的・理性的に筋道立てた思考・判断ができれば相互理
解が進み、利害関係が相反する者同士でさえも平和な共存の道が求め
られるはずだ。そのためには前段として論理的読解力の涵養(かんよ
う)が必要であり、後段として論理的表現力の習得錬磨が不可欠とな
る。論理力を実戦的メソッド(ワードマーキング)の指導という形で
浸透させていきたいものだ。
児童・生徒・学生の時期に基盤となる論理力をマスターできれば、そ
の後の人生において、自分だけでなく家族も社会も理不尽さに煩わさ
れることの少ない日々を送れることだろう。情も理も兼ね備えた人々
の多い社会で日々の暮らしを営みたいものだ。

103 2006.01.04 セレンディピティ+クオリア kokugo.jugem.ccより

西日本新聞1月4日付け朝刊 14-15面は、新春早々うれしい読後感
を得た対談だ。我が意を得たり。
銅版画家 山本容子さんと脳科学者 茂木健一郎さんの対談「イメージ
の世界が開く世界」がそれだ。
以下、自分のための、自分なりの覚書。
--------------
閉塞感が強い今日の社会において、子どもたちが身に付けるべき知性、
最も求められている能力とは、人とのコミュニケーションを通して新
しいものを生み出す力。
そのために必要な二つの力。イメージして何かを感じ取れる能力、そ
れをロゴス(論理性)をもって人に伝えられる能力。
その能力を鍛えるためには、まずは稚拙でもいいからアウトプットす
る、表現してみる。表現しないと人に伝わる「思い」にならない。表
現することがきっかけになって感性が鍛えられる。
そのために「いいものをいっぱい見、感じ、自分に正直である」こと。
本物を見ること、体験することが重要。(それによって自分のクオリア
(数量化できない感覚質)に気づいていける)
その行動を起こすこと。続けること。その過程で生まれ気づく「欲望」
を持ち続けること。「熱中」して「遊ぶ」。それを続けることが、自
分を鍛えることに通じる。
そうして、他との違いを大切にして、それを表現していく。
鍛えて身に付けた「自分がどう感じたかを基準に生きていく」ことは
一番大切。しかし、自分らしさで守りに入ってしまうのではなく、偶
然の発見と出会う幸運(セレンディピティ)のように、飛び込む時は
勇気をもってやってしまうことも必要。
自分にしか分からない妙な引っかかりは、無意識のうちの脳からのメ
ッセージ。それは自分だけの宝物かもしれない。大切にしないといけ
ない。そのためにもまず表現してみること。ただし、自己満足な表現
にとどまらずに。
まず行動を。
-----------------------
示唆に富む対談だった。
我流で一言付け加えるなら、「悪いもの、まずいもの、ひどいもの・
こと」をも体験すればさらによいかも。昔の人は「苦労は買ってで
もせよ」と言ったが、よいものばかりでは、それが当たり前で、ど
れほどすぐれているのか、その価値、それを生み出した背景、それ
を体験できる幸せを実感することが薄いような気がする。幅の広い
体験・見聞が、感性の振れ幅を大きくし、より豊かにトレーニング
してくれるように思う。
受験現代文の指導をベースにしてきたサイト http://kokugo.cc 、
補完する動きとしてのメールマガジン(まぐまぐを通して発行)
関連ブログとしての http://blog.kokugo.cc、同じくこのブログ
http://kokugo.jugem.cc も、トレーニングのきっかけやヒントな
ど、少しでもパワーアップして続けていきたい。受験はきっかけ、
実は取り組み方で、広がりある気づきの世界の存在を知ることに
つながると確信して。
2005年、文部科学省が目覚め一念発起して取り組み始めた一連の
動き(「文字・活字文化振興法」成立→「文字・活字文化の日」
制定→「(PISA型)読解力向上委員会」立ち上げ、「読解力向上プ
ログラム」関連の調査・指導資料作成・小中学校の指導要領改定、
高校入試・大学入試の改革等)にも後押しされ、ロジカルに表現
する小論文、それに密接に関連し前提とも結果ともいえる現代文
の指導に自分なりに力をいれていきたい。
生きることは自己表現だ、などとも言っておこう。よく生きるこ
とは、よく表現することだともいえる。自己満足に陥らない表現
には、自己流の方法に留まらない、人(他者)に伝わる決まり事
もふまえた表現の方法論の理解とトレーニングが不可欠だ。
表現の前提として、よく読むことも挙げておきたい。これも自己
流や無手勝流ではなく、文章ジャンルの本質から導き出される客
観的読解法を。(私流にいえば、ワードマーキング読解というこ
とになるわけだが) よくとは、頻度ばかりでなく適切さを意味
している。読み、判断・思考し、評価、表現する。その磨き上げ
が、よりよく伝えられる表現の原資、よりよく生きる糧となろう。
考えることと感じること、理性と感性、あわさって広義の知性と
いおうか。ここにゆるき身体と三位あわさって人間という存在と
理解する。それぞれの身体、それぞれの理性と感性。ぶつかり合
ったり、融け合ったり、そうして人生が彩られていくのか。どう
せなら、自分なりに美しいと感じられる彩りでありたいものだ。
安穏として危機意識薄い暮らしの中、”ケータイ”と”ゲーム機”で
考えることをスポイルされてきた感がここ何年も強かった。瞬間
的な刺激ばかりを面白いと感じ、スピード感とインパクト重視の
ものごとが身近にあふれかえってしまった毎日の中では、このあ
たりの閉塞感・危機意識というのも、気づきや自分で思考・判断
するきっかけとなるのかもしれない。いや、そうしたいものだ。
千年前の雅の世において、面白しという古語は、面(顔)の前が
ぱっと白く(明るく)なったように感じるさまをいったという。
現代のように煌々(こうこう)と照り渡されたきつい社会ではな
く、光と闇の振幅とともに情感も豊かで、夜ともなれば月明かり
が闇を照らす最たるものであった時代の白さ・明るさに思いを馳
せながら、実に奥深い「面白さ」を、今の社会でも大切にしてい
きたいものだ。
「人間は考える葦である」という。「我思う故に我あり」とも。
思考・判断・感得することが人間の人間たる所以(ゆえん)と
する点は現代日本においても変わらぬ真理であろう。
セレンディピティ、よし。クオリア、よし。この一年が楽しみだ。
今日一日が楽しみだ。一年の計はここに(も)あり。いろいろな
表現に関わって、たっぷり人とともに楽しむ一年としたいものだ。
追)
テレビ欄を見たら、今日20時からNHK教育テレビで、ピアニスト
舘野泉さんが取り上げられる(再放送)。氏は、日本を代表する
ピアニストながら、病に倒れ右手が不自由になられた。微妙な
コントロールが必要なピアニストにおいて演奏家人生に大きく影
を落とす出来事だった。右手が以前と同様に完全に治るまでは人
前での演奏はできないと当然のように考えた氏にとって、転機と
なった発想は…… とった行動は…… 文筆家もかくもやと思わ
せる氏の豊かな広がりをもつ言葉による表現と穏やかな語り口は
必聴とおすすめする。この番組自体は未見だが、正月早々に再放
送されるとは。うれしいお年玉だ。
●セレンディピティに関するサイトをご紹介
この他にも読みごたえ十分のコンテンツ満載のサイトです。ぜひ
どうぞ。(確認したところ、ちくま新書で出版という運びになっ
たようです)
LinkIconhttp://www.toyama-cmt.ac.jp/~kanagawa/essay/serendipity.html

104 2006.11.25 小論文:Q1要約とQ4論述の間→Q2Q3内容説明問題

テーマ型から始まった小論文が、課題文型を主とするようになり、
論述のみであったものが、課題文要約を別問で要求するようにな
り、さらに最近は、要約と論述の間に、傍線部の内容説明問題が
1〜2題出題される形になってきている。小論文において、配点上
ますます読解力が重要となってきている現状だ。
テーマ型では力不足・材料不足で書けない受験生が多かったから
課題文を読ませてせめて材料の一部、あるいは手がかりを与えて
書きやすくしよう。書けても本来の論理力の観点からは評価でき
にくい論述レベルの答案が多いから(論述力の裏面としての読解・
要約力を評価対象とすることで、時間と得点を用意して材料出し
をさせて)内容面で論述の助け船も出して力を評価し、あわせて
(要約が不出来な場合は後の論述を採点対象とせずに済むことも
ふまえて正統的に)採点事務を短期化し(要約や説明問題には部
分点も区分けして与えられるところから)試験としての実効性も
上げよう。
そういう出題側の苦慮がありありと見える。小論文試験において、
いかに多くの受験生が書けていないか、その裏返しでもある。
問いたい力と問える試験形式がある。しかし、書けないから試験
の意味をなさない。一方で、受験機会を増やしたい少子化の中で
は出題自体が比較的やりやすいことからも小論文という試験形式
は採用したい。ならば助け船を出して、出題内容も論述以外(の
要約や内容説明問題)も援用して、書きやすく、点数も区別がつ
けやすくして、試験の役割を果たすようにしよう。そういう状況
だといえよう。
課題文要約、加えて内容説明問題ということは、今や小論文は、
配点上から見ても、論述問題というよりも読解問題の傾向を強く
示しつつあるということだ。(ただし、読解力と論述力は同じコ
インの裏表だから、まず読解力をトレーニングすることで、その
延長に論述力をとらえることができるという意味では、上記の小
論文試験のスタイルの変化は、実に本質を突いていて興味深く意
義もあるといえる。論理的読解力も論述力・表現力と並んで、判
断力・思考力にいたる重要な力である)
にもかかわらず「簡便に書く」という面ばかりに意識を向けた学
習をしていては、小論文合格力の対応策としては片手落ちだ。こ
の点は警鐘を鳴らしておきたい。
推薦入試やAO入試が大幅に取り入れられていく傾向の受験の現状
から見て、そこで合格を勝ち取る有力受験科目の一つとして小論
文を考えると、いまや知識、論理的判断力、論理的表現力(論点
に対してどう自分の主張を説得的に書くか)ということに加えて、
論理的読解力や(いかにポイントとなる内容を的確かつスピーディ
ーに読み取って論述にふさわしい)問いを切り出す着眼点、加え
て一見難解(あるいは複数の意味にとれるよう)な部分を的確に
説明(分かりやすく言い換え)する力、そしてそれを論述に発展
させる力が正面から問われている。
 要約力と説明(言い換え)力。ともに論理的な力だ。
これら論理的表現力と密接する論理的読解力の配点比率は実に高
い。ここに合格力アップのポイントがある。
     何を書いたらいいか分からない→知識を増やし、考え
     (方)を学び、問題発見能力と発想力を磨くべし。
       →用語集や本、Web、TV等→素材メモシート。
        そしてアイデアメモとしてのマンダラート。
     どう書けばいいか分からない→文章表現における論理
     的な構成を理解し、構想するトレーニングをする。
       →アウトラインメモ。その後の答案論述と添削。
その前提として、あるいはそれらを含めた小論文力の軸として、
論理的読解力を磨くことが小論文合格力のキモである。
さて、ある程度短い期間で論理的読解力を高めるにはどうすれば
よいか。
そう、そのために<ワードマーキング読解>がある。スターター
キットの後段には、付録として記述・論述問題の解法もきっちり
と載せている。シンプルなメソッドが幅広い応用にこたえてくれ
る。要約ももちろん評論編の要旨要点把握シートでトレーニング
できる。これを独立させ、マーキング規準を要約用の70%バージョ
ンにまとめたものが<要約力養成キット>になる。直接個別指導
の<ワードマーキング読解ダイレクトコーチ>は、事前の音声CD
での予習とあいまって、添削+解説+実習の一回完結スタイルで
習得し勝ち取る力は大きい。(<現代文攻略ゼミ>の本サイトで
の内容解説が<スターターキット>だけで留まっている点は申し
訳ない。ブログの前々稿を参照いただきたい)
現代文+小論文の学習→他教科の学習習得度の向上。この図式を
強く身近に実感し生かしきってほしいものだ。

105 2007.04.04 小論文トライアングル〜情勢キーワード

受験機会の増加、受験時期の前倒し、推薦入試・AO入試の合格枠増加
の傾向から、小論文対策の開始時期の前倒し並びに必要レベルの学習
内容・スケジュールの充実が合否の明暗を大きく分けることになる。
「文章を読めない、言葉を知らない、考える力が弱い」という批評が
現在の生徒・学生についていわれることが多い。概括して批評するの
は無責任な言でつつしみたいと思うが、全国の大学で入学後の学生に
行われるリメディアル教育の実情を見るとその傾向は現実に切実な問
題として存在するといえる。(ただしその原因は十代の若者の側にあ
るのではない。いろいろな立場の<大人>が生み出した問題であると
考えるが、ここでは論からずれ拡散するので述べない。機会があれば
別稿としよう…イヤ、コレハ不要カ…ナ)
入試の変遷・現況とあわせ、社会が求め、大学が求め求められ、学生
が求められる力が何であるかを考えてみたい。
そうすることで受験生自身が何にどう取り組めばよいのかを見えてき
そうに思う。(直接的には受験科目としての小論文のかかわりになる)
 ※関連するキーワードは次の通り。
 ----------------------
 (文部科学省の動き・狙い)
    OECD学習到達度調査 PISA型読解力 文字・活字文化振興法
    文字・活字文化の日 言語力 読解力向上プログラム
    生きる力 総合的な学習 国際競争力            
    21世紀COEプログラム グローバルCOEプログラム 産学連携
    社会の要請に応える専門職業人の養成プログラム 人材育成
  大学
    国立→独立行政法人 二極分化傾向 研究・教育←→経営 
    生き残り 定員割れ 受験機会増 期日前倒し 入試科目減→増
    リメディアル教育 補習授業 一般向けエクステンション講座
    社会の要請 産学連携 人材育成 社会人再教育 大学評価   
  社会
    少子化 高齢化 団塊の世代 雇用・労働問題(終身雇用・年功
    序列の崩壊から、ニート・フリーター 非正規雇用 格差社会 
    ワーキングプア ワンコールワーカー) 国際化 環境 
    ことば コミュニケーション ケータイ ゲーム機 ブロードバ
    ンドインターネット
    文化 生命 科学技術 教育 食 (現代人の)生き方
    産学連携 人材育成
  自分(大学入学志望者)
    自己 関心 将来像 熱意 適性  自己実現 自分発見 
    進学 就職 起業  社会→大学→今 自分と社会 自分と大学 
 ----------------------
    
おや、だいぶ端折らないと遠回りになってしまうか? 少しずつ考えて
みたい。                       (つづく)

106 2007.05.17 大学受験小論文のために〜 Googleユニバーシティ検索

大学受験で推薦入試やAO入試を受ける際には小論文が重要となる。
情報化社会、情報過多?社会の中で、大切な能力としてのメディア
リテラシー(読み・書き能力)に通じるものでもある。
己を知り、他を知るところから勝負は始まる。対策が生まれる。
己を知るという面では、マンダラートを利用したセルフチェック
(自分見つめ直し)シートから始めるとよいという話は済ませた。
見つめ直し項目の例はこの次の記事で挙げてみることにする。
他を知る、という面では、他の一方の雄は社会であり、もう一方
が大学である。社会の意味するものは広範にわたるが、大学のそ
れはいくつかのポイントに絞られる。まず第一は「求められる学
生像」だろう。
推薦やAOは、受験生と大学の幸福なる結びつきが期待されている。
入学後に判明するミスマッチは双方にとって不幸なことだ。求め
られる学生として求める大学にいち早く合格を決められれば、さ
らに進んだ新生活への準備が進められる。
少子化〜大学経営環境の厳しさ〜大学の二極分化〜入学者の確保〜
受験生の確保〜受験機会の増加という側面は後においても、その
受験制度の中で小論文の負う役割・小論文を身につける意味合い
は大きい。
さて、「求められる学生像」は志望校が決定していればもちろん
のこと、未定の場合、迷っている場合、あるいはその中で小論文
受験に戸惑いがある場合、ぜひアクセスしてみてほしいWebペー
ジがある。
検索エンジンの雄、Googleの「ユニバーシティ検索」ページ
それだ。
Googleは単なる検索エンジンにとどまらぬWeb上の複合的なサー
ビスを提供する企業に変貌(へんぼう)を遂げている(とげて
いる)。
そのサービスの中の一つが先に挙げたページだ。全国の大学が
リストアップされていて、大学名を選んだ後に現れるページで
検索窓に検索したい語を入れれば、その大学のサイト内の検索
語に関わるページが一覧できるようになる。
試しに地元の大学を2〜3選んで「求める学生像」と入力して検
索してみてはいかがだろう。他にも「小論文」や「入学案内」
などでも検索してみるとよい。
大学の理念・ポリシーという大枠から入試情報や受験の心構え
まではっきりと見えてくることだろう。
志望する大学、さらには学部・学科が、その理念やシステム、
環境やスタッフ、施設などにおいて、本当に自分の求める存在
であるのかが読み取れるだろう。
まだ志望が定かでない場合も、複数の大学、複数の学部のそれ
を読むことで、自分のこれからの方向性に気づく部分も出てく
ることと思う。
試験の意味をつかんだうえであればより充実した学習ができる
はずだ。密度も頻度もあがって力がついてくる。受ける以上は
受かるように準備を進めてほしいものだ。受かってからも実に
役立つ能力となるのだから。

107 2007.05.27 大学入試「過去問題活用宣言」全国67大学

センター試験の現代文や受験小論文に関して書き続けているブログだが、
今日は新聞記事の紹介をしておきたい。標題通り、大学入試における過
去問題の活用における国公私立大学の一つの動きだ。
「西日本新聞」5月27日朝刊34面の記事によると、
全国の国公私立67大学が26日までに「過去問題活用宣言」をした。
各大学は問題の相互利用が可能で、来年の入試から始める予定。宣言は
「過去の問題には、数々の良問が蓄積されており、大学の共有財産とし
ての側面を持っている」としている。
昨年、岐阜大などが中心となって委員会を設立し、過去問題の相互使用
を大学に呼び掛けていた。
宣言に参加した大学は2007年5月時点で、下記の国立24校、公立10校、
私立33校。今後、百から二百校に増やしていきたいとしている。
参加大学は、一般に公表されている過去問題を対象に、「そのまま」あ
るいは「一部改変」して使うことができる。
【国立】(5月時点で一校増え24校)
旭川医大、北見工業大、弘前大、岩手大、秋田大、山形大、宇都宮大、
埼玉大、東京学芸大、お茶の水女子大、横浜国立大、金沢大、山梨大、
信州大、岐阜大、静岡大、滋賀医大、兵庫教育大、奈良教育大、鳥取大、
愛媛大、九州大、熊本大、宮崎大
【公立】
茨城県立医大、群馬県立県民健康科学大、埼玉県立大、石川県立大、石
川県立看護大、山梨県立大、岐阜薬科大、静岡県立大、名古屋市立大、
歯科県立大
【私立】
札幌学院大、石巻専修大、女子栄養大、東京国際大、聖徳大、桜美林大、
共立薬科大、順天堂大、昭和大、東京農業大、東京慈恵会医大、日本医
大、日本獣医生命科学大、日本女子大、ルーテル学院大、関東学院大、
相模女子大、湘南工科大、帝京科学大、中部大、皇学館大、龍谷大、大
阪工業大、四天王寺国際仏教大、摂南大、阪南大、神戸学院大、奈良大、
川崎医療福祉大、広島経済大、広島工業大、徳島文理大、高知工科大
 ※参照→「入試過去問題活用宣言」ホームページ
※私見としてのコメントは後日追加予定。まずはお知らせすることを
 優先して。
追:過去問活用の動きは2005年11月、国立大学協会の総会において、
  東大名誉教授・岐阜大学学長の黒木登志夫氏が、休憩時間を利用し
  て、約20の大学の学長に説明して回ったのがきっかけだそうだ。多
  くの学長が賛同してくれたという。その後、2006年10月時点で17
  大学、2007年1月時点で約50大学、さらに5月時点で上述のとおり
  67大学という状況になっている。
 ※参照→LinkIconhttp://nyushi.yomiuri.co.jp/nyushi/news/20070110_01.htm

108 2007.06.06 小論文のベース〜<大学>を知る

センター現代文・二次試験現代文〜大学受験小論文を対象に
書き連ねているこのブログですが、今日は<受験小論文>の
ベース部分の締めくくりとして<大学>を知るについて一言
書いておきます。
<自分>を見つめ直し、<社会>のいくつもの側面の現状、
そして過去のありようを知り、<自分>の将来像のイメージ
を漠然とでも思い描き始めたであろう今、目前の<自分>の
将来像を実現・醸成する場として<大学(短大・専門学校を
含む)>について知っていきましょう。
印刷物としての大学案内は当然のこと、大学のWebサイトや
大学の先生方のサイトやブログ、サークルのサイトなどイン
ターネットも役に立ちます。インターネット上のムービーと
して動画で見られる大学案内を掲載している大学も多くなっ
てきています。分かりやすくなっています。
数年前からは、とくにOCW(オープンコースウェア)として
自宅に居ながらにしてパソコンで大学の講義の一部を聴講で
きるようになってきています。かなりの数の大学で実施して
いますのでGoogleやYahooで検索してみてください。
あるいはiPodでおなじみ?のiTunesStoreでPodcastとして
登録されているものもあります(東京大学、
高知大学、大阪府立大学)。
もちろん推薦入試やAO入試を考えている場合は、オープンキ
ャンパスは欠かせませんね。一般入試の場合ももちろん参考
になります。志望大学が遠い場合は、同じ学部をもつ近くの
他大学も参考になると思います(これは過去問学習でもいえ
ることですね、新設の学部などで過去問がない場合は他大学
のものを参考にしましょう)。
オープンキャンパスは、年々充実と早期化しているようです。
今年は既に三月から実施しているところも多いようです。青
田買いではありませんが、大学の経営環境も含めた対応の多
角化の現れの一つなのでしょう。
小論文の講演・指導をしてくれる場合も増えていますので参
考になさるとよいでしょう。実際の学生が質問に答えてくれ
たりしてよりリアルで身近に大学を感じられるよいチャンス
でもあります。まだ先が長い受験生活においてのモチベーシ
ョンを高くキープする意味でも足を運んでみてください。
大学や学部・学科、地域性・土地柄・周辺環境も含めて、自
分の貴重な期間を暮らす土地や大学として魅力を感じられる
場を見つけてほしいと思います。
ほぼ志望大学・学部を決めてらっしゃる場合は確認的な意味
で、迷っていたりメドがついていない場合はなおさら、しぼ
って決めていく材料として情報収集に励んでください。情報
収集能力は受験小論文でも大学進学後の全学部での研究活動
においても必須のスキルです。一石ニ鳥にも三鳥にもなるオ
ープンキャンパスを上手に活用してほしいものです。
さぁ、ここまでは受験小論文の前準備としてのベースの部分
でした。これらをふまえていよいよ小論文の本編に入って、
力をつけ磨いていく段階ですね。重要な時期を迎えます。

109 2007.06.15 福岡17大学連携イベント「ふくおかで学ぼう2007」

福岡17大学連携イベント「ふくおかで学ぼう2007」 2007.06.15 Friday
大学受験の現代文や小論文について情報発信している当ブロ
グだが、きょうは大学主催のイベントについてお知らせをし
よう。
九州大学の卒業生や関係者向けのメール通信Qdai-mail通信の
第24号が今日送られてきた。(私の場合は卒業生という立場)
その冒頭の記事「福岡で学ぼう2007」というイベントは、オー
プンキャンパスと出張講義が街に飛び出した、という感じか。
少子化のもとでの大学経営を見通すにあたって、ここ何年かの
大学側の努力は二十年前、十年前とは隔世の感がある。意識も
動きも大きく変化してきている。とくにここ数年は毎年毎年積
極化している。せっかくのチャンスを活用して、志望大学・学
部を見定めるにあたって大いに参考にしてほしい。
[以下、転載]
------------------------------------------------------
 福岡市と福岡市都市圏等の17大学が、連携して「ふくおかで
学ぼう2007」を開催します。
 九州内の 4会場でパネル展を行うと共に、天神や川端の喫茶
店等を貸切り、出張講義「アカデミックカフェ」を開催します。
 皆様のご参加をお待ちしています。
・巡回パネル展
  鹿児島会場 6/27(水)〜6/29(金)
             アミュ広場(JR鹿児島中央駅前)
  長崎会場  7/11(水)〜7/13(金)
             かもめ広場(JR長崎駅前)
  大分会場  7/18(水)〜7/20(金) 
             JR大分駅構内
  福岡会場  8/24(金)〜8/26(日)
             イムズ(福岡市中央区天神1-7-11)
・アカデミックカフェ 18:00〜20:10(一部)18:50〜19:50
  会場:カフェ・ボーヴェルジェ(イニミニマニモ5階)
              福岡市博多区下川端町3-1
     シャンガーデン(イムズ12階)
               福岡市天神1-7-11
      福岡国際ホール(西日本新聞会館F16)
               福岡市中央区天神1-4-1
 九州大学からはユーザーサイエンス機構 江藤特任講師による
おでかけばりカフェ「味の地図 〜味覚センサーと旅する味の
世界」と題し、7/12(木)18:00〜19:00にイニミニマニモ5F
カフェ・ボーヴェルジェにてサイエンスカフェの形式により実
施いたします。
詳細、お申込みは西日本新聞社のホームページをご覧ください。
   http://www.nishinippon.co.jp/cm/2007/study/
 参考:ユーザーサイエンス機構 Varietasブログ
   http://blog50.fc2.com/varietas2010/
------------------------------------------------------

110 2007.06.23 東京12大学フェア in 福岡 2007年7月7日(土)開催

東京12大学フェア in 福岡 2007年7月7日(土) 2007.06.23 Saturday
新聞の広告から内容を抜粋しました。<大学を知る>ご参考に。
「東京12大学フェア in 福岡」
 2007年7月7日(土) エルガーラホール(福岡・天神・大丸よこ)
 11:00〜17:00(入退場自由)
 青山学院大学 慶應義塾大学 国学院大学
 上智大学   専修大学   中央大学
 東海大学   日本大学   法政大学
 明治大学   立教大学   早稲田大学
 個別進学相談     各種資料無料配布   各種資料閲覧
 各大学紹介ビデオ上映 奨学金相談(日本学生支援機構)
 大学説明会(各大学による単独説明)11:30〜15:45までの間で
  2ホールを使い各大学30分ずつ
 東京12大学 公式ホームページ
 http://www.tokyo12univ.com

111 2007.07.06 国語・過去問の重要さ「入試問題の外注実態調査」に見る

5日付けの共同通信、それを受けての6日付けの新聞各紙で、文
部科学省が6月に行なった「大学入試問題の外注実態調査」の
結果が取り上げられている。
---------------------------------------------------
その調査によると、入試問題の作成を企業や予備校などに外注
している私立大学が全国で71校あり、うち18校はすべての
教科・科目の問題を外注していたということだ。
調査対象は、国立大87校、公立大76校、私立大578校。
国公立大では外注なし。
外注先は、企業へ62校、予備校など外部機関へ11校(一部
重複)。
教科別では、国語49校、数学と外国語が各41校、理科31
校、地理・歴史29校、公民15校。
外注理由としては「一般教養などを担当する教員がいない」
「問題の質の確保に自信がない」などの説明があったという。
この実情に対して文部科学省はすべての国公私立大学に対して
「入試問題の作成は大学の方針に基づき、自ら行うことを基本
とすること」との通知を出した。
---------------------------------------------------
5月27日付けのこのブログで取り上げたように『国公私立大学
67校の過去問活用宣言』と関連づけて見ることもできよう。
大学の現状の厳しさととらえてもよいだろうが、一方でその中
で、よりよき人材、可能性を秘めた新しい人材の確保を実現す
るための苦肉の策というようにとらえることもできるだろう。
(以前は大学側が受験回数を増やそうとしたところ、教官側が
 別に新たな受験問題を作成することが困難として対立し、結
 局とりやめになったケースもあった。現在は経営上も受験回
 数や場を増やすことは必須という中で外注というやむにやま
 れぬ事情を生じさせているのだろう。一方で国公立大学も推
 薦入試やAO入試による入学者が定員の五割まで増やせること
 になったこととあわせて、一般教科ではなく小論文での受験
 機会が増えてくることにもつながるだろう。もちろん一般教
 科においては過去問の活用〜再利用という流れになる)
公平性と実効性が担保できるのならば、あながち批判すべきこ
ととは思えない。過去問の量が膨大であることからその点は実
質的に担保できるという考えが表明されている。
受験する側としては、試験の意味、合格するために必要とされ
る力の内容と程度、限られた時間の中での準備学習の進捗とい
う観点から、本質を突き古びることのない要素を多く併せ持つ
ものとして過去問をしっかりと学習していきたいものだ。それ
を通して、必要な知識や判断力などを養っていきたい。
時と場は変わっても、本質はそう変わるものではない。慌てず
騒がず、目先のことにとらわれず、地と知に足をつけた学習を
心がけてほしい。むやみに多くを学習する必要はない。必要と
される力は三ヶ月、六ヶ月でもかなりの程度磨くことができる。
精選された問題を、解くための方法論を身につけることを主眼
に、応用できる力として身につけてほしいものだ。そうするこ
とで目先の変化に惑わされず、しっかりと実力を発揮すること
ができ、合格を手にすることにつながる。
必要な知識と読解力、判断力・思考力、表現力は、そのバラン
スやタイプがそれぞれ異なる部分はあるにしても、どの教科に
おいても重要な力だ。身につけるべきエッセンスを豊富に含む
過去問を十題、二十題と解いて、気づきを得て実力をつけてい
こう。

112 2007.08.01 小論文・書き方学習開始の直前に〜世界観を変える映像

基盤となるべき事柄について、多少遠回りな感じがしたかも
しれないけれど書いてきた。全体図の概略は次の通り。
      <自分>-----<大学>
        <<社会>>
        ○○○○○○○
  <過去>--->>--<現在>--->>--<未来>
    -       -      +
Mac使いの先駆者の一人、林信行氏が記事で紹介している映
像作品を知ってほしい。<<社会>>の理解には、組織体・
システムという面と、構成する個々人という面があると思う。
組織体・システムというと漠然としてしまうので、着眼点と
しては、家族やクラス、部活、学校あたりから始めて自分の
住む街・地域社会、地方、国などへと発展させるとよい。そ
れとて全分野一括での把握は無理だから、環境とか言葉・文
化とかコミュニケーションとか、分類した(小論文の出題と
しての頻出分野)単位で大まかにとらえ、志望学部・学科が
絞られてくれば、関連分野を少し細かく補充学習するとよい。
構成する個々人は、代表的な職業人の生き方というミクロの
視点から日本人や人間というマクロのとらえ方に発展できて
いけばよかろう。いずれも終わりなきリサーチだから、パレ
ートの法則の章も思い出して、抜けている点や面が多くても
かまわないから実行できる範囲で探り、受け止めて、読み・
聴き・書くことを通して、理解・判断・記憶へと進み、自分
なりのものの見方・世界(社会)の見方・考え方へとステッ
プアップしていきたい。
組織体・システムとしての社会も、個々人の集合体としての
社会も、どちらも抽象的で概括的にとらえて漠然と分かって
いるつもりで終わってはあまり意味をなさないが、具体的か
つ新奇性のある気づきを導き出してくれるメディアは種類も
量も数多くある。(リテラシー、特にメディア・リテラシー
の問題は重要になってくるが、いわゆる鶏と卵の関係にもた
とえることができるだろうし、ここでは問題に取り上げない)
助けとなる書籍であれ、講話であれ、映像作品であれ、貴重
だ。これまでも、書籍やテレビ番組、Webサイトやブログ、
個性的でプロフェッショナルな人物などを紹介してきた。次
にリンクを貼った映像作品は劇的なスピードで変化する今の
<<社会>>の一実相についてきわめて示唆的である。
紹介記事
LinkIcon[あなたの世界観を変える、5つの映像作品<前編>]
紹介された映像作品の一つ(オリジナル版)
LinkIcon[Did You Know 2.0]
同作品の字幕版
LinkIcon[Did You Know2.0]
新たな視座・視点をもつと、今の社会が違って見えてくる。
そこから理解が深まることがある。考えが広がることもある。
刺激を得て、根っこから自分の力を伸ばすチャンスとなるは
ずだ。その一つのきっかけとなれば幸いだ。部分から全体を
突破せよ。

113 2007.08.03 参考ブログ記事:「フラット化する社会」

受験現代文と受験小論文について書いているこのブログ
だが、小論文編で述べた<社会><大学><自分>に関
して、偶然見かけたブログがたいへん興味深い内容だっ
たのでご紹介したい。
LinkIconhttp://nedwlt.exblog.jp/5413645
前回紹介したビデオクリップの内容も思い起こされる。
(トラックバックするにはエキサイトへの登録
 手続きが必要ということで、まず直リンクで)
返信という形で書かれた続編はLinkIconこちらだそうだ。

114 2007.08.21 文科省「言語力」を小中高の全教科で横断的に指導を求める

このブログでも下記のように2005年12月にとりあげた
(文部省いうところの)「言語力」に関して、16日、
より具体的に、学習指導要領の柱とするべく検討が進ん
でいることが報道された。→該当記事リンクasahi.com
 参考)
  当ブログ2005.12.11:『言語力』〜文字・活字文化振興法
  当ブログ2005.12.12:文科省「読解力」全教科で養成
学習指導要領の柱に言語力を置き、小中高の「全」教科を
通じて、言語力の育成を目指すことで進むようだ。
※「言語力」:2005年の「文字・活字文化振興法」の公布・
施行時の定義によれば「国語における読む力及び書く力並
びにこれらの力を基礎とする言語に関する能力」
 論理的な読解力・論述力という当時の定義が、より広く
 とらえなおされているように報道からは見受けられるが
 正式な資料はまだ文部科学省のサイトに掲載されていな
 いので判断は留保する。2003年のOECDの学力到達度
 調査テストでの不出来を端緒として、これまでの文学
 作品の鑑賞・解釈中心の読解から、論理中心のPISA型
 読解への大転換が注目されたが、体験や共感まで含む
 能動的な学習指導の充実まで含まれるようで要注目だ。
 小中高の指導要領の改定はおのずと大学入試にも影響
 を及ぼすことになる。大学入試は大学入試である意味
 先取りして小論文の幅広い導入はなされているわけだ
 が。

115 2007.08.23 日本リメディアル教育学会 特別講演

リメディアル教育について触れた当ブログの過去記事だが、
大学生の基礎学力向上の方策をテーマにした「日本リメディ
アル教育学会」の特別講演が一般に無料公開されるそうだ。
(西日本新聞本日付け第27面都市圏版記事より)
 今月31日 西南学院大学(福岡市早良区西新)
 13時10分〜14時
 演題:「大学の現状を見て中学では何をすべきか、何を
     し始めているか」
 講師:リクルート社を経て中学校長になった藤原和博氏

116 2007.09.11 「学士力」:中教審の提言 大学卒業認定の厳格化を

11日付けの朝刊各紙によると、中教審は大学全入時代の
到来で学生の能力低下が指摘される中、学生の質保証を
すべきだとの提言を盛り込んだ報告書をまとめた。
「入試による質保証の機能は大きく低下した」という状
況に対して「日本の大学制度成立以来初めて生じる状況」
と重く受け止め「今後教育の質を担保できなければ、国
内外からの信用を失う危機にさらされる」と警告し、卒
業認定を厳しくすることで徹底した"出口管理"を求めた。
中で大学に対していくつもの具体的な改革の提言をする
一方で、国に対しても興味深い提言をしている。
そこで使われている語がタイトルに挙げた「学士力」だ。
学士課程で求められる<コミュニケーション、情報活用、
論理的思考>などの能力を「学士力」としてガイドライン
を示し、出口管理の徹底や評価の厳格化を推進する大学を
支援するなどの取り組みを求めた、とある。
リメディアル教育を始め、大学入試にまつわるポイントを
このブログでも折々取り上げてきたが、ここにいたって抜
本的な改革が動き始めたようだ。小中高には文部科学省が
「言語力」の充実を掲げ、今回大学には中教審が「学士力」
の充実を提言したということになる。
どちらにも共通するものは、論理的思考だ。その基となる
論理的読解力、それとともにある論理的判断力が<情報活
用>そのものであり、その後に連なる論理的表現力は<コ
ミュニケーション>の一要素といえるだろう。
そう、入試科目でいうならば、小論文、そして現代文の分
野そのものだ。いずれも小論文学習の意義として現代文も
関連づけてこのブログやメールマガジンで再三述べてきた
ことそのものだ。
小・中・高・大そして社会へと連綿として磨きもてるよう
に要請される力としての「言語力」「学士力」。その内容、
その習得メソッド、活かし方など、重要度・期待度・注目
度の高さを今さらながら認識させられる。
手前味噌ながら<ワードマーキング読解>のすそ野も頂上
も広げていかなくては。

117 2007.09.12 高校国語の科目再編 文部科学省〜中教審国語専門部会

今日の朝刊によると、標題のような素案の提示と
了承がなされたそうだ。
文部科学省は「伝統文化や言語力の育成を重視す
る流れを踏まえ」て素案を提示したという。
素案の概要は、記事によると以下の通り。
現代文A:生涯に渡って日常的に読書に親しむ態
     度をはぐくむことを目標とする。
現代文B:文章の読解力をつける従来の現代文。
国語表現:プレゼンテーション能力などを養う
     国語表現IとIIを統合し、リポート作成
     や、自分の意見をまとめて相手に伝え
     るなど社会で実際に活用できる力を
     学ぶ科目とする。
まだ素案の段階で生硬ではあるが、2005年から
の認識と方針の転換が、先日のリポートとの整合
性をもって流れができ実際の形をもちつつある
ようだ。
再編後の授業は2011年度以降に始まる見通しだ
という。

118 2007.10.03 中央大学広告に見る「大学が望む学生像」

小論文〜推薦入試に関連して、大学の求める学生像には以前の記事
でも触れたが、今日は中央大学の新聞全面広告を引用してあらため
て認識を深めよう。(西日本新聞10/3朝刊20面より)
==============================
           募   集 (それは君のこと)
         社会を良くするのは
         誰かではない。
         君たちの知性だ。
今は、大学受験で頭がいっぱいかもしれません。けれども、大学の
先には、もっと広い世界が待っています。私たち中央大学は、社会
という名の広い世界を見つめるあなたに、来てほしいと思っていま
す。あなたの志を磨き上げ、社会を良くする方向へ変えてゆく。行
動する知性へ変えてゆく。そんな仲間とカリキュラムが、中央大学
にはそろっています。以下、その一部をご紹介しましょう。
<2007年度新司法試験合格者数153人>(中略)
<FLP>6学部またがって、授業科目を有機的にリンクさせるプログ
    ラムです。(中略)
<女性のキャリア支援>「現代的教育ニーズ取組支援プログラム」
    (中略)「産学連携教育による女性研究者・技術者養成」
    (中略)優れた女性を、産業界へより多く送り出すことを
    目的としています。
いかがですか。大学の先を見つめるあなたに、社会と自分について
考えているあなたに、中央大学は応えてゆきます。ともに、厳しく
も豊かな4年間を過ごしませんか。
[考えよう 自分のこと 社会のこと]
        行動する知性。中央大学2008
=====================================
中央大学は、昨年もこの時期に西日本新聞に全面広告を打った。
地方の大学と首都圏の大学との受験生争奪戦という話題とは別の
こととして、昨年/今年ともに、大学の目が興味深い。
ともあれ、間近に迫ってくる推薦入試に向け、研究・探求の仲間
探しとしての推薦入試という一面、社会との連携を重視している
大学の状況、(二極化する大学/受験生/社会情勢のもとで、)
自分〜大学という視点/狭い視野ではなく、自分〜大学〜社会と
いう視点/広い視野が求められていることを念頭において準備の
学習を推し進めよう。
勝ち組/負け組などという浅はかな二分法などにまどわされず、
自分を伸ばし活かすジャンプ台としての大学生活に夢をもって
取り組んでほしいと切に願う。
まずは自分の志望大学の大学案内やWebサイト掲載の「求める
学生像」の再チェックと、自分自身のセルフチェックから。

119 2007.11.05 受験 学問 高校生活:茂木健一郎氏の講演MP3

最近の号はサイト内に再掲載はしません。ブログの掲載ページへのリンクを貼りますので、ブログ本体でお読みください。
LinkIconブログ該当ページへ

120 2007.11.16 イベント"しごとぴあ'07" 11/16,17(土) アクロス福岡

最近の号はサイト内に再掲載はしません。ブログの掲載ページへのリンクを貼りますので、ブログ本体でお読みください。
LinkIconブログ該当ページへ

121 2007.12.04 OECD 学習到達度調査2006、結果記事と関連インタビュー

最近の号はサイト内に再掲載はしません。ブログの掲載ページへのリンクを貼りますので、ブログ本体でお読みください。
LinkIconブログ該当ページへ