冬01 2006.12.12 小論文ツール:素材メモに記入ガイドを追加


2006.12.12 Tuesday小論文ツール:素材メモに記入ガイドを追加

小論文の3ツールの最初のシートである「素材メモ」シートに
記入用のガイドを追加記入してみた。

あたり!

記入すべき8項目の、記入規準=リサーチ規準が学習する受験
生にとって明確になった。

記入のベースに探す・探るという作業がある。探し探った内容
をそのまま全部記入できるはずもない。当然、取捨選択が必要
となる。この取捨選択における判断力は、論述でも要約でも重
要となる論理的(価値)判断力そのものだ。

ただ単に調べて記入する作業だと侮ることなかれ。

何をリサーチするか、どうリサーチするか、も基本ラインはシ
ートに記されている。それをもとに、各テーマ・論点に関して
実際にリサーチをし、情報を収集する。さまざまなレベルや方
向性の情報から、あるものは捨て、あるものはすくい取る。記
入ガイドの問いに沿うことで、その視点・視座から追加のリサ
ーチというものが必要となることもある。一度で記入欄を埋め
ることは難しい場合も学習途上ではあるだろう。何度かに分け
て記入していけばよい。その時々に少しずつものの見方が磨か
れていく。

実は、その記入ガイド自体が、論理的判断力・論理的思考力の
トレーニングガイドそのものだ。

書くことは考えること。しかし、必ずしも常に量的なまとまり
をもった文章を書くことが必要なわけではない。たとえばここ
で「素材メモ」と読んでいるリサーチシートに、用語や短文を
メモとして書き込んでいくことも、同じ効用をもつ「書く」こ
ことだ(と納得できていく自分に気づくだろう)。

外部にある情報が、自分自身の内部に定着して知識となる瞬間
だ。小論文学習の第一段階が、次への発展性を秘めたものとし
て眼前に生まれ出でたことになる。ちなみに、知識が磨かれて
智慧となり教養ともなる。

一旦記入が済んだシートもそれで完成とはならない。いくつも
の社会的テーマについて素材メモをつくっていくことで、知識
も判断力も磨かれ思考の充実も生まれてくると、既に以前に記
入してしまったシートも、その内容や表現に満ち足りないもの
を実感してくることになる。

迷わず、書き加えるなり、あらたにシートを書き起こすなりす
ればよい。その時点での満足のいく素材シートが姿を現わす。
それは客観視できるカタチで、記入者の知識を如実に現わして
くれる。その気になれば、他者との共有や交換も可能となる。
濃密な知的データベースがさらに広がりと深みをもつことにな
る。そのフィードバックは、持つ者に大きな恩恵をもたらして
くれる。

次なるアイデアメモ、さらなるアウトラインメモへのステップ
が、書き手の論理力・言語力を磨いてくれる。

受験は戦争ではないが競争ではある。受験小論文の学習におい
て、そこで求められる力を正しく認識し、それを手に入れる明
確なメソッド、その実現のための具体的なツール、その使いこ
なしのトレーニングを積む中で、求める力を自分自身のものと
して涵養できるし、しなければならない。それこそが小論文学
習→受験のベースにある大きな意味の一つなのだから。

無手勝流であってはならない。時間とエネルギーは無尽蔵では
ないのだから。必要とされる力があって、今の自分が足りない
状況だとするならば、彼我の差を埋めるべく、明確なメソッド
に基づいた具体的なツールで、必要なトレーニングを積もう。

大いに頭脳を活性化させてくれるこのシート群は、自作ながら
魅力的だ。

[3種のメモシート+要約シート]で構成される、とみながの
小論文ツールとトレーニング。まだまとまった名はない。この
際、しゃれたネーミングを考えてみることにしよう。乞うご期
待! いや、名よりも実が重要か。

冬02 2006.12.18 ワードマーキング構想の原点、そしてマンダラート

2006.12.18 Mondayワードマーキングの構想の原点、そしてマンダラート

ワードマーキング読解のメソッド構築の原点にあるのが、
講談社学術文庫澤田昭夫氏の労作「論文の書き方」「論文
のレトリック」の二冊だ。書棚の整理をしていて久々に手
にとった。実に懐かしい。

その奥付を見ると、前者が昭和52年6月10日第1刷で、私の
購入したものが昭和63年(1988年)7月15日第23刷のもの。
同様に後者が昭和58年6月10日第1刷で私の購入分が昭和63
年3月30日のものだ。18年以上前になる。

昭和60年(1985年)9月からひょんなきっかけで始めた国
語の指導だったが、小・中学生対象の塾から、翌年には大
学受験の予備校にも教えにいくようになり、共通一次試験
の読解法を模索した中で巡り合った本だった。

もとから読める者の読み方をそのまま押し付けたのでは、
読めない者のできる読み方にはならない。なにか共有でき
る具体的で本質を突いた方法論を見いださなければという
状況の中で、文章の本来の性質・狙いから生まれる書き方
を逆転させれば本質を突いた読み方が見いだせるのではな
いか、という発想から探しに探したことだった。

当時も、そして今も、ここまで明確・明晰に論文の本質を
解析し方法論を組み立てた著作はなかったように思える。
クールな文体の中に、深みのある洞察と、濃密で具体的な
ノウハウが盛り込まれ、加えて旺盛な伝授の意欲を感じた。

凝縮された解析と短いフレーズで表されたノウハウを基に、
従来からのマーク付けという手法を組み合せ、さらに単語
単位に昇華させてワードマーキングという形に発展させた。

書き方の逆発想としての読み方を、その後2〜3年のブラッ
シュアップを経て完成させることになる。読めてくる、見
えてくる、その気づきの連続にその後の数年間もワクワク
しながら自分で読み、解き、その後指導しつづけた。

(同じスタンスで小説の読解にも取り組み、その後完成さ
 せた)

ほどなく小論文も指導するようになったが、先祖返りとい
うべきか、何をどう書くべきかというのは自家薬籠中のも
のといえたのは言うまでもない。(同書は本格論文の書き
方であったために、受験小論文とは異なる部分もあったが
大いに参考になった)

読むことと、書くこと。その表裏一体の関係がワードマー
キングの原点にある。現代文も小論文も、要約も読解説明
問題も、読み解けるのは当然といえば当然のことだ。

小論文といえば、私のツールはこれまでに述べた3種のメモ。

小論文の3種のメモのうちの、アイデアメモであるマンダラ
ートは創案者の今泉浩晃氏の著作が現在は入手しづらいよ
うだ。(ごく最近、別の方の著作は出版されていたが)今
泉氏の深い洞察と思索から生まれたマンダラートの真髄に
触れられるのは、今なら氏のサイトやメールマガジンが主
となるようだ。ぜひ読んでみて実際にやってみてほしいも
のだ。ちなみに、手許にある今泉氏の著作は以下の通り。
いくつかはアマゾンから中古本で購入できるようだ。ご参
考まで。

「創造性を高めるメモ学入門」日本実業出版社 昭和62年9月初版
「超メモ学入門マンダラートの技法」日本実業出版社 1988年11月初版
「生き方をデザインする」実務教育出版 1988年12月初版
   同 文庫判    サンマーク文庫 1993年
「時間をデザインする」実務教育出版 1992年4月初版
「頭の使い方が問題なんだ」サンマーク出版 1994年5月初版
以上、敬意を表しつつご紹介する次第である。 感謝。

冬03 2006.12.27 小論文ツール:アイデアメモに発想ヒントを投入

2006.12.27小論文ツール:アイデアメモに発想ヒントを投入

小論文ツール三部作の真ん中、マンダラート応用のアイデアメモの
シート内に発想のヒントというか規準・順序例を背景に薄めにいれ
てみた。

これまでは欄外におおまかな項目をいれておいたが、この改良によ
って、マンダラートのセルから目を離すことなく、かつ、自由さは
多少差し引かれるものの、初心者でもアイデアの出やすさが確保で
きた。

テーマ型では必須のアイデアメモ。試験時間中の15分は活用したい。
本来のマンダラートとしての発想メモとして、そして今回の改良で
次のアウトラインメモの前段のフリーな素材書き出しのメモとして
使おう。

課題文型でも、素材メモがそのまま応用できる標準的で素直な切り
口の問題ならば、次のツールであるアウトラインメモ(段落構成メ
モ)の直接利用で足りるが、ひねった新たな切り口や、応用が必要
な条件付きの場合は、やはりアイデアメモが生きてくる。
課題文をワードマーキングで読み解き要約したとしても、生きた考
え方を(ベストとはかけ離れた本番の心理状況の中、限られた時間
枠で)発揮するにはこのツールが必要だろう。(常に本番を意識し
て準備すべきなのは勝負の常道だ。悪コンディションが本番での当
たり前と心得て準備しよう)そこでは、本来のマンダラートの使い
方とは異なるものの、今回の小論文用カスタマイズ版が大いに役に
立つ。

求められる言語力(論理的な読み方・考え方・書き方)を示すために
は、小論文答案作成のプロセスにおいて(もっといえば小論文試験
を受験するまでの準備段階も含めて)論理性を重視したアプローチ
が必要となる。付言すれば、高い次元の論理性には(発想・着想に
おける)柔軟な感性が重要となることはこれまでに述べた通りだ。

掛け声やスローガンではなく、それを本番の時間内で活用できるの
はもちろん、そのための準備学習の段階でのトレーニングでも威力
を発揮するツールの存在意義は大きい。

アイデアメモ改良版、大いに役に立ってくれる形に整った。前を固
める「素材メモ」、後を充実させる「アウトラインメモ」、サイド
でサポートする「ワードマーキング要約シート」のラインナップは
鬼に金棒状態だな。あとはきっちり使っていくことだね。論理的な
読解〜判断・思考〜表現力をトレーニング段階から磨き、実戦の場
で使いこなして示すことのできる頼もしいツールたちだ。

冬04 2007.02.05 小論文:求められる力 & 頻出テーマに潜む真のテーマとは


受験小論文において、ここ10年ほど継続して、文系理系問わ
ず、地域を問わず、頻出の重要テーマが「環境」だ。

ちなみに小論文で出題されるテーマは、現代の社会問題で、
その中心は[現代社会の<生き方>]だ。ここからさまざま
なテーマが派生してくる。

 ■<生きる>ための基盤として「環境」や「食」など
 ■年代別の<生きる>上での問題として「高齢化、介護」
  「フリーター、ニート」「少子化」「教育」など
 ■人間が<生きる>上で必要なものとして「ことば、コミ
  ュニケーション>など
 ■「ことば」「食」からは「文化」「異文化(交流・理解)」
 ■「ことば、コミュニケーション」と[社会]から「情報化
  社会」「メディア(パソコンや携帯電話など)」など
  (メディアと子ども、それに対する大人の対応など)
 ■<生きる>と[社会]「環境」から「国際化(などに代表
  されるさまざまな)社会情勢」「科学、技術」問題など
 ■<生きる>ことに直結するものとして「生命〜死生観、
  生命倫理、生命科学、健康」などが、
 ■推薦入試においては<生きる>主体として「自己、志望」
  以上のようなテーマが頻出となる。
 ※医療看護系や法、経などで、専門分野の入門的用語や事
  項なども出題される。(意欲・関心、適性を知るため)
  理系や経済工学系などで図・表・グラフの資料型小論文
  が課されるのも同趣旨である。

視点を変えれば、幅広く何が出題されるか分からないと思い
込みがちな受験小論文において、その核としては<生きる>
ということ、<自分>という存在、広く<人間>というもの、
<社会>ということについて、[過去]〜[現在]〜[将来]の
視座から、自分なりの理解と考え方を養っておけばよいこと
になる。(ちょっと大げさに感じるからもしれないが、それ
が、小論文を通して大学側が知りたい隠し?規準の[教養]と
いうことにつながる。ただし判定は、現状、高いレベルのも
のが求められているわけではないので心配は無用)

現状の<求める学生像>から直接判定対象となっているのは、
1.意欲・関心、適性(考え方や価値観)
2.言語力(論理的読解力、論理的判断力・思考力、論理的表
現力)である。
付随して、着想力、問題発見能力、問題解決能力。近年重視
されているのがコミュニケーション能力、関連して協調性。

大学発行の大学案内などを読めば、学部・学科や大学によっ
て多少表現の違いはあっても本筋はこれらの点になる。とく
にここ数年、どの大学も「社会により有用な人材を自分の大
学から送り出そう、それによって自分の大学の社会的必要性、
存在意義を高からしめよう」ということに腐心している傾向
にある。少子化時代の大学生き残り策という一面もある。そ
の実現のためにも、上記1と2の実力、ないしは入学後に伸ば
せる可能性をより多くもった学生に仲間となってほしい訳で、
その点を問えるのが、試験科目としては小論文や面接であり、
試験制度としては、講義受講後のレポート提出やディベート
なども含み多角的・本格的に試験できる(大学と受験生のお
見合い的な意味をもつ制度である)AO入試ということになる。

必要な知識(現在の問題状況、過去の背景・原因、語の定義
など)をふまえて、自分の考え(方)を論理的・説得的に(理由
や具体例を伴って、本質をおさえつつ、将来に向けての打開
策まで)展開するのが小論文だ。

準備学習の第一段階として、頻出テーマについて情報を探し
探って(@とみなが流にいえば、8つの要素で<素材メモ>化
し、書くための知識に換える作業を通して智慧につながる)
判断力や思考力、問題発見能力などを磨いていく必要がある。

知識面は、新書や新聞を読んだり、「現代用語の基礎知識」
などの用語集で調べたり、講演やテレビ(ドキュメンタリー
やインタビュー)番組を聴いたり見たりするが、今ならとく
にインターネット上の検索エンジンを駆使しサイトやブログ
にアクセスしたりPDFなどにまとめられた資料を手に入れた
りすることで充実させることができる。その気になれば一晩
でちょっとした評論家はだしになれる。(ただし、うそ・い
つわり、まゆつば情報や解釈も多いので、取捨選択に判断力
が必要となる点は注意しよう)関連省庁や公的な研究機関、
NPOや大学の研究室、民間のシンクタンクや研究組織、各種
団体、さらには現場第一線のプロフェッショナルの方たちが
提供してくださる素材は宝の山だ。学習の合間の息抜き用ブ
ログ「悠々として急げ」 http://kokugo.jugem.cc/ でも
参考となるWebサイトなどに関して折々紹介しているが、今
日はテレビ番組を一つお知らせしたい。
(おやおや、ここまでが長〜い前書き! 恐縮デス)

放映日時:2月7日(水) 18:55から2時間 「1秒の世界II」
(TBS系列)がそれだ。 http://www.tbs.co.jp/ichibyou07/

「地球温暖化」「終わらない戦争」「究極のエコ生活」

現代社会で引き起こされている巨大な変化を「1秒の世界で
完全映像化」して見せてくれるという。小論文でも大切な
着想・発想の学習にもなりそうだ。具体的事例をこれまでと
違った角度から切って過去から現在、そして将来へつながる
事象として見せてくれる番組は貴重だ。ぜひ生かしたい。

冬05 2007.02.07 小論文:求められる力 その2


それは論理力の背景に横たわる感性。イメージ力というか想
像力といってもよい。発想・着想の母。

小論文では、二歩目からは論理力でも、最初の一歩は感性の
果たす役割が大きい。

繊細ではあるけれど、しなやかで生き生きと弾ける心。すべ
ての科学の原点か。

仕込んだぬか床に、広げたアンテナ。入ってくる異物に敏感
に反応する何か。波紋が広がり、静かに消えていく。たちま
ちに沸き起こりかのように立ち上がる竜神の姿。

仕込んでいなければ生まれないし、広げていなければまた生
まれない。百を仕込んで、旨い酒や漬物になるのは二つ三つ
だろうか。いや、七、八はあるかな。

感性+論理力。おそらくはすべての科学(=すべての学問分
野)に必須のものだろう。心解き放ち、柔軟さから生まれる
強靱さを構築してほしい。

まぁ、それはそれとして二次試験直前期。私大の受験は本番
の連続のさなかということであれば、これまでに書いた答案
の磨き上げに力を注ぎたい。

主張と理由を本論前段に、それらの前提の問題(問い)を軸
に、ベースとなる設問のポイント指摘や課題文の要約を前に
配し、必要な語の定義や現状認識・分析を具体的に書いて序
論としよう。軸の後(本論後段)には具体的な表現も含めて、
将来に向けての実効的な打開策を書きたい。字数が必要であ
れば過去の背景・原因や本質論についても書けばよい。最終
段落(結論)は新たなことは付け足す必要なく、問いと主張
を「以上のことから」という書き出しで再登場させればよい。

よい答案は、ひっかかりなくスムーズに一読できて、いいた
いことがしっかりとした構成の上に十分な根拠をふまえて深
められていくもの。中心の百字をはさむ前後の七百字、九百
字が、内容と構成がものをいう。できあがった答案は格別む
ずかしいことをいっているわけではないのだが、ストンと腑
に落ちる。さりげないなにげない表現であることが多い。

実際必要以上に難しく考えず、何をを越えて、どう構築する
か。(感性をふまえて)自分のもつ論理力をアピールできる
構成となるよう手持ちの答案を磨いて(できれば志望学部関
連の5テーマほど)本番に臨んでほしい。現状分析や本質論
はあなたの根本認識として、テーマが異なっても切り口が
珍しい場合でも(表現は悪いが)使い回しがきくはずだ。目
先の切り口にふりまわされず、その奥の本質をとらえ、そこ
を自分の論理力アピールのステージとしようと心がまえを整
えて挑めば答案は書けていくことだろう。

頭真っ白(真っ青?)、プレッシャーたっぷりな状況でも、
その力を本番で発揮させてくれるのがやはり手作業の導き。
アイデアメモとアウトラインメモがそれだ。使いこなそう。

冬06 2007.02.08 小論文:論理は推進力


受験生の答案を見てみると、比較的よく書けている答案でも
論理が一ヶ所でとぐろを巻いていて、展開していかない場合
が多い。

一段落から二段落、二段落から三段落、小さく浅かったもの
が、だんだんと大きく深く開いてつながって進んでいかなけ
れば論理的展開とはいえない。

論理は推進力だ。

スタートからゴールへの一本の筋道、問いから答への論旨一
貫・首尾一貫の流れ。それぞれの段落が連関しあい呼応しあ
い深みと幅をもって説得力をもって一つの主張を表しきる。
そういう表現を試験本番でも実現したい。そうすることで、
論理力・言語力を持ちえていることをアピールできるわけだ。

しかし実際にはほぼ同じことを一段落でもいい、二段落でも
述べ、三段落でも書きというように、800字、1000字の字数
指定の答案が、実質的な内容としては200字か250字で終わっ
ているケースが実に多い。
同じ試験で、800字を800字相当に活用できた答案と、800字
を200字相当にしか使えなかった答案とでは、どちらが合格
答案になるのかは明白だ。

それでは何を気をつけるべきか。

答案を書き出す前に、文章全体の構造を見渡せる設計図がで
きているか。この一点が最重要だ。すなわちアウトラインメ
モということになる。

序論-本論-結論の大枠をもう一段階細分化して、言葉でつむ
ぎだす論理的表現といえるだけの構成とそれぞれの構成要素
ごとの書き出しのことばを頭にたたきこんでおいて、問題用
紙の余白や(あれば下書き用紙の一部に)ささっと三つのフ
レームを用意し書き出しの言葉をさらさらっと書き込んで、
あとは肝心の使うべき単語や短文をすすっと書き加えていく。

答案と同じ表現での下書きはいらないし、時間的にも許され
ない。しかし、説得の構造をもった答案を、出題テーマに対
して臨機応援に対処して書くには効果として下書きと同等の
ものが必要となる。その役割を果たすのが上述のアウトライ
ンメモ(段落構成メモ)だ。つくるのに要する時間は8分程
度。答案は書き出したら一気呵成に最終行まで突き進むべき
だ(それが説得力の最終必要事項でもある)が、その直前に
行うべきことが、鉛筆片手に答案用紙のマス目の横をなぞり
ながらアウトラインメモをもとにこれから書くべき答案の表
現を頭の中で声に出していく作業になる。800字ならNHKの
古手のアナウンサーのスピードで2分20秒ほど。古舘アナな
ら2分弱か。チェックすべきは、構成、具体的な文言、分量
のバランス、記述の順序。説得力をもった答案が書けそうな
予感がすればOK。迷わず書き出そう。当然細かな表現は変わ
る部分もあるだろうが、書き出したら一気という勢いが大事。
読み手(採点官)をひきずりこむ力の源だ。迷わず書き上げ
よう。それが可能になるのもアウトラインメモのおかげ。体
調や心境面でタフな状態の中で、内容的にも、時間的にも、
合格点を勝ちうるために不可欠だろう。(もし書き出す前の
チェックで説得力不足と気づいたら、メモを修正すればよい。
一目で全体構造、段落間の連関の度合いが判断できるのがメ
モのよいところ。スピードもかせげる)

あとは、誤字・脱字などの表記上のチェックを3〜5分ほどで
おこなおう。終了の合図とともに鉛筆を置くくらいでよい。
中途半端に時間を余す必要もないわけだから。フルタイム、
充実して自己の言語力をアピールすべし。

論理は推進力。これまでに書いた答案の見直し・磨き直しの
過程でもこの力をより強めるように心がけて作業を進めて
ほしいものだ。

冬07 2007.02.09 小論文:直前再点検は「定義付け」から


小論文用「素材メモ」の中心のセルを囲む周囲の8つのセルの第
一の要素は「定義」。

小論文の実戦本番での答案作成は、課題の中心語の定義づけから
始めるわけだ。直接、答案に表現として利用する場合ばかりでは
ないけれども、論を正面からとらえ説得力を増す論述の下支えと
なることは間違いない。

この直前期の再点検は、頻出テーマの定義づけをしておきたい。

  定義のかたち:「○○○とは、□□□□□である」

このブログの2月5日の記事に挙げた一般的な頻出テーマや、自分
の志望学部特有の頻出テーマなど(同系統の他大学のものも含め
て過去問からピックアップ)について、ひとまず字数短く「○○
とは、□□□□□である」という言い回しを考えて文字にしてみ
よう。

これを実行することで、自分の基本スタンスが多角的にはっきり
自覚できるとともに、知識や認識の不足部分、思考・判断の弱い
部分があらわになり、本番までの間に不足を補う調べをつけたり
考えを深めたりするきっかけになる。

まずは、宝の山としての自分の頭だけを使って、うんうんとひと
うなりしながら文字にしてみよう。(必ず目に見えるように紙に
書きとめよう。頭の中だけでは効果が薄い。手を使って白紙に鉛
筆で書く。このことは、思考のプロセス自体を活性化させるし、
のちのち思考の結果を思い出す際にも生きてくる)独善的に思え
てもよいから自分のストレートな表現で断定してみることだ。

すらすらと定義が出てくるテーマもあれば、なかなか表現できな
い場合もあるだろう。得手不得手は誰にでもあるから当然のこと。
落ち込む必要はない。ただし、何が本番で出題されるかはわから
ないから、手を抜かず定義づけ作業をやってみよう。

すらすらと書けた定義も、もし新聞やテレビで目や耳にするよう
なありきたりのものだと自分で思ったら、ひとひねりできないか、
すなわち自分らしい個性的な見方から生まれる独自の定義ができ
ないか、工夫してみよう。

眉間にシワを寄せて、その単語だけをにらみつけていても出ては
こないだろう。大きな広がりをもつテーマは、いったん身近な小
さく細かい事例へと思いを馳せて、その中での性質をできる限り
数多く思い浮かべてみるとよい。量は質を生む。

「環境」ならば、「ゴミ」「水」「空気」「地球温暖化」などを
思い浮かべたり、「住環境」や「食の環境」を思い浮かべる場合
もあるだろう。「日本の環境」に対して「外国の環境」、「現在
の環境」に対して「過去の環境」、次には「よい環境」に対して
「悪い環境」も浮かんでくることだろう。いろいろな「汚染」の
例が頭をよぎるかもしれないし、中で本質的に大切なこと、基本
として守るべきものの姿が見えてくるかもしれない。その渦の中
で探り出す「環境」の定義とは、あなたの場合、どういう表現に
なるのだろう。独りブレインストーミングともいうべき状態を経
て、あなた自身の視座が自覚できる定義にたどりつく喜びも味わ
えるはずだ。(このあたりの作業は「アイデアメモ」での頭の使
い方と共通する部分でもある。また、第一要素の「定義」を考え
ながら他の複数要素を洗い出す作業をしていることにもなる)

ちなみに本質といえば、「環境」、すなわち「取り囲んでいる周
りの世界」ということから、それでは「取り囲まれている中心の
世界」は何か、ということに思い及び、「人間」とは何か、「生
きる」とは何か、「社会」とは何か、という根源的なテーマにた
どり着くことだろう。そう、これらの点は2月5日の記事に既に書
いた通りだ。

切り口の一つとしての「環境」について考えることで、根源的な
テーマにも考えをめぐらすことになり、なぜそれが問題としてと
らえだされているのかという意味も深く理解が進み、その上で、
残りの7つのセルを文字で埋めていく作業を通して、論点や主張
があなたの中に育まれ磨かれていく。本来どうする(ある)べき
で、そのためには考え方と具体策の両面でこれから先、誰が何を
どうしていくべきなのか、本質や背景にもふれながら論を展開し
ていく原動力となる。そしてそれは逆に次なる切り口(たとえば
「教育」でも「コミュニケーション」でも「文化」でもいいわけ
だが)への通奏低音となる。思考がらせん状に深みに達していく。
それを説得的に伝えるための表現を磨く意欲も湧いてくる。

定義がスムースにできなかった場合、あるいは、ありきたりの
説得力の薄い表現で終わった場合は、今の時期ならばインターネ
ットでyahoo.co.jpやgoogle.jpなどの検索エンジンを利用して
Wikipediaを見たり、省庁、大学、研究機関、NPOなどのサイト
から自分の納得のいく表現を探ろう。

1日1テーマ1定義は、直前の小論文力チェックに最適だろう。
知識面とともに判断・思考力のトレーニングとしてもふさわしい。

当然、テーマの定義だけでは終わらないよね。「素材メモ」の
第一要素に過ぎないわけで。最初の扉をしっかりと開ききれば、
眼前に小論文ロードが開けていく。いざ歩まん、そしてたどり
着かん、目指す合格の場へ。迷わず歩み出せ、歩み続けよ。さ
らばさらに道は開かれん!

冬08 2007.02.11 小論文:最終チェック〜基本二大性質


小論文は、何を、どう書くか、がポイントだ。

直前期に、その基本的な性質を四字熟語で伝えよう。仕上げ
学習の中でも、本番の受験の最中も、自分のチェックの目と
して答案づくりや見直しの際に呪文のように唱えて使ってほ
しい。

【旗幟鮮明・一刀両断】 キシセンメイ・イットウリョウダン
 自分の考えをはっきりと表明すること。

   感情論でぼやかない。
   決まり切った心がけ・道徳的な結論で終わらない。
   結論をぼかして読み手の読解力に頼るような書き方を
   しない。
   明確な理由とともに自分の考えをはっきりと述べる。
 
 
【理路整然・一目瞭然】 リロセイゼン・イチモクリョウゼン
 すっきりと筋道立てること。
   文と文のつながり具合と順序を適切にする。
   段落と段落のつながり具合と順序を適切にする。
   課題文中の中心となる多義語やあいまいな意味の語
   は意味内容を吟味して明確に説明してから論ずる。
   確かな現状分析を避けてありきたりの常識論に逃げ
   ない。
   課題・設問の問う内容(答を求めている問い)を正
   面からとらえる。
   課題のごく一部をとりあげて論じない。
   課題とずれたことを問いに設定して論じない。
   例を多く挙げるだけで主張を導き出さずに終わらない。

冬09 2007.12.15 小論文:「ワーキングプア」明日のテレビ放映と関連書籍


12月10日にお知らせした 「ワーキングプアI&II」再構成版につ
づいて明日16日に「ワーキングプアIII」が放映されます。


<社会>の実像は、直接経験としては、空間的にも時間的にも
限りがあり、全体像やその中の詳細な部分は間接的に各種メデ
ィアによる情報によることになります。
書籍、テレビ、インターネット、講演などがまず挙げられるか
と思います。それらも字数や時間、かけられるエネルギーや費
用、編集する側の能力や価値観などにおいて、ある種の限定や
バイアスはかかってしまうのですが、受け手の側でそれを承知
した上で自分の情報源とすることで得られる恩恵はやはり大き
なものがあります。

<社会>的な事象は、それに対する側の立場や価値観において
賛否並立するものです。当然、その間のグラデーションのよう
な各段階に分かれる立場も含めて。

いずれも無批判に鵜呑みにするのではなく、自分の情報源とし
て、相互に合わせ鏡のようにして、自分なりのスタンスができ
ていく素材群にしていければよいように思います。

一つの意見を知ったら、逆の立場の意見も読んだり聞いたりし
てみるとよいでしょう。それぞれにプラスの部分とマイナスの
部分を含んでいたりすると思います。そのバランスの上での、
より納得のいく考え方を持てるようになっていくことが望まし
いといえるでしょう。

受験小論文では、結果としての主張(思考・判断の内容)の是
非は問われません。その主張を表明するにいたったプロセスが
(はじまりとしての論点、関連する現状認識から、過去の背景・
原因、主張を裏付ける理由や具体例、将来に向けての打開策・
解決策、それらの一貫性)たしかに「論理的」であるかどうか
が評価の対象になります。

かといって、最初の情報が誤っていたり偏っていたりしては、
プロセスの論理性も始まりの部分でズレを生じかねません。
その意味では、完全無欠の情報源は現実にはありえないことか
ら、複数のソースにあたる必要は出てくるでしょう。

これまでの<自分><社会><大学>に関するリサーチの上に
立って、今の自分なりにもっている立ち位置・目線をさらに磨
くべく、準備を進めてください。この時期からは志望学部・学
科に特有のテーマに絞りをかけて深めていくことができるでし
ょう。

時間的な制約は受験生誰しも共通のもの。時間は工夫で作り出
すもの。頭は細切れ時間でも十分に働いてくれます。働かせれ
働かせるほど、そのキレは増してきます。少しのインプットと
少しの寝かせ、少しの立ち上げ・迷い・判断・決断、さらにイ
ンプット、という流れで取り組んでいきましょう。推薦やAO
で既に合格を決めた方も、自分磨きでよりよい大学・短大・専
門学校ライフをスタートさせるためにも、今こそ小論文にあら
ためて取り組んでみるのもよい手段だと思います。国公立二次
や私大本試験向けで必要な方はもちろん大切な準備の柱ですね。

という長い長い前置きのあとですが、紹介します。
テーマ:「ワーキングプア」

テレビ:NHK総合 12月16日(日) 21:15〜22:34
     「ワーキングプアIII 〜解決への道〜」
関連して出版されている取材班の書籍や他の立場・著者たちの
書籍はアマゾンのこのページで。いろいろな立場の読者のレビ
ューも見られるのがアマゾンの面白いところですね。

冬10 2007.12.17 小論文:底を流れ、表を包む重要テーマ2題


すべての受験小論文の底に潜むように流れる真のテーマは
「生きる」ということだと以前に書きました。

もう一つ、すべての受験小論文の頻出テーマの表を包むも
のは「コミュニケーション」といえるでしょう。

両者は重なり合う部分も多いと思いますが、直接的にこれ
らとつながりやすい場合はもちろんのこと、一見つながり
が見えないような場合もあえてつなげて発想してみること
で、テーマのもつ本当の問題点や考える意味、そこから考
えていく打開への方向性や広がりが見えてきたりします。

頭の隅に、「生きる」ということ、「コミュニケーション」
ということを置いて発想・着想してみてください。

今日は説明抜きであっさりと投げ掛けておきますね。

冬11 2007.12.25 小論文:時代の原理「共生、共有、共創」キュレーター長谷川祐子氏

冬12 2007.12.27 小論文:面白くてタメになるエコなBOOKS〜サイト紹介