夏01 2006.08.08 要約力養成キット〜課題文型小論文、現代文

たくさんの方がこのブログを読みに訪れてくださっていて有り難い。
この二ヶ月ほど、GoogleやYahooの検索で「要約 現代文」とか、
「要約 小論文」などでこのブログにたどりつかれるケースが増え
ている。
なるほど、現代文・評論の読解の本質は要約にあるというのは以前
に解説済みだ。現代文の学習としても、そして小論文の学習として
も要約は重要ポイントである。
現代文・評論の読解が、材料と展開の見分け、その中でのメインと
サブの見分け、補助的把握としてのプラスとマイナスの判断などに
よる本文のポイント把握=読みと、それを利用しての紛らわしい選
択肢の要素と構造による比較と見極め=解きにあり、それをプレッ
シャーがかかり体調も万全とは限らず制限時間の制約との闘いも含
めてクリアしていく方法論としてワードマーキングを提唱している。
かたや小論文の課題文要約は、上述の現代文読解の[読み]の部分
の精度七割レベルの習得で[解き]の部分は不要、ただし、200字
あるいは400字で一読達意(一度読み通せば独立して意図が分かる)
の要約文に[まとめる](ポイントワード・フレーズの見抜き+
接続語の補充や一部語句の言い換え+順序の整え)という作業の習
得が必要となる。[読み(ポイントの見抜き)]の方法論としては
ワードマーキングそのもの、[まとめ]としては、5〜6題は「要点
要旨把握シート」を使って、タイトル、マーキングしたワード、そ
のプラス・マイナス、段落毎の重要度の判別から要約文ができてい
くという方法論に慣れる学習を進め、その後は本文マーキング→活
用可能表現のボックス囲みから、そのまま要約文の骨組みをつくり、
必要に応じて調整をしていって要約文を完成させるというトレーニ
ングを積めばよい。算数の検算よろしく、要約文から元の本文に一
度読み戻って要約たりえているか確認する作業は3〜4題すればよか
ろう。字数に応じて、理由をどこまで入れるか、必要な説明フレー
ズをどこまで入れるかという点は個々に異なってくるので、要約ル
ールに沿ったトレーニングの中で個別に調整して慣れていくことに
しよう。
簡単にいえば、要は(1)素材としてのポイントの見抜き方と(2)素材
のつなげ方&言い換え・調整の仕方を身につけられればよいわけだ。
要約がスムーズにできる=大意が素早く把握できると、小論文の学
習において重要な資料読み調べにおいてもスピーディーにできて、
より効果のあがる学習が進められる。一石何鳥にもなるようだ。
「要約力養成キット」? 必要とする方はどのくらいいますか?
コメント
ワードマーキングを利用しての「要約力養成キット」販売準備中。
小論文対策にお役立てください。

夏02 2006.08.11 小論文:課題文要約は高配点

課題文型提示型の小論文は、小論文全体の七割程度になるといわれている。
(他は、テーマ型と資料[図・表・グラフ]型である)
近年は、論述に先立って、課題文の要約(200字または400字が主流)が
別問題として出題されるパターンが増えている(課題文型の四割程度)。
意外と盲点となっているようだが、この場合の要約問題の配点は高い。
200字の要約と、その後の500〜600字の論述で、配点がフィフティー・フ
ィフティーだという大学もある。他も推して知るべしだ。大きな得点源で
ある。
要約が明示されなくとも、論述の冒頭に課題文のポイントを手短に示す必
要があることは当然だ。そのポイントに対して自説を論理的に展開してい
くのが課題文提示型の小論文の本来のカタチであるわけだから。
後に論述が控えていることから、読解〜要約のスピードも得点力に大きく
響いてくる。
逆に、正しくかつスピーディーに要約ができれば、課題文のポイントへの
論述の攻め方(反論、全面賛成+理由・具体例の独自化、概ね賛成・一部
異論+補足など)も的確に選択でき、素材としてのアイデア出しも、その
後の材料選択と段落構成にも必要な時間をあてることができ、総合的に得
点力をアップする大きな推進力となる。
また、書く力と読む力は裏表一体の関係だから、要約力が高まれば、書く
際にも文章の構成要素やそれらの論理的展開の手本として活用することが
でき、書き上げる小論文答案自体のレベルも上がってくることに通じる。
これらの点からすると、小論文で合格可能性を高めるためには、要約力が
重要であることは明らかだ。
とかく、小論文の学習というと、書き方にウエイトを置きすぎるように思
える。しかし、まずは、そして実は軸とすべきは要約力ではないか。
具体的で実戦的なメソッドとしての要約法<ワードマーキング読解>の出
番だネ。(センター用のワードマーキングの七割程度の精度で十分!)
コメント
トラックバックをいただきました。
私の場合は、18年前から「マンダラート」という
日本生まれの発想法を使っています。小論文の場
合は3種類のメモを使いますが、二段階目のアイデ
アメモで使用します。シンプルですが、かなりの
スグレモノです。息抜き用ブログにずいぶん以前に
書きましたが、後日あらためて小論文の書き方の記
事としてアップすることにしましょう。

夏03 2007.06.28 <ワードマーキング読解>マーキング添削の3段階とは

現代文の読解力を添削で伸ばす<ワードマーキング読解>ですが、
読解力の段階に応じて添削も大きくは3段階に分かれます。
まずはルールを学習して間もなくは、マークの不足、マークの
混同という段階になります。数題マーキング練習が進むと、今度
はマークの付け過ぎの段階を迎えます。この過程で教えられたル
ールが自分で気づいていくルールになります。不足する段階では
マーキング添削は必要なマークを加えて指摘しますし、付けすぎ
る段階では、メインとサブなどのメリハリ、言い換えを言い換え
ととらえきれずに別のマークをつけている場合などはその指摘を
添削で示すことになります。自分のマーキングと@とみながの添
削マーキングの差異を認識してルールの復習もし自分の視点・視
座を少しずつ確かなものにしていきます。内容的にもスピード的
にも、べたーっとしたそれまでの読みと違うメリハリのきいたリ
ズミカルな読みに近づいていくことでしょう。
また数題マーキングの練習が進むと過不足の(少)ない適度なマー
キングになっていきます。付けるべき語にマークがつき、つける
必要のないところにはつかず、大きくカッコでくくって流す部分
もすっきりとつき、プラス・マイナスの符号もついてくる。同時
に文章の構成の把握、ポイントの把握がすっきりとできているこ
とに気づくことでしょう。この段階の添削は確認的なものになり
ます。評論でいえば、まだ言い換えが言い換えと見えていない部
分もあるでしょう。添削で指摘します。二段・三段ロケットにな
っているような構成の場合も同様です。小説でいえば、心情・性
格を表す間接表現に見落としがまだあったりします。見落とさぬ
マーキングで指摘します。この段階では、評論は段落が進むにつ
れて拡散するのではなく収束していくということがよく理解でき
ていくことと思います。理解と合わせて、目に見える形で眼前の
自分のマークで一目瞭然になっていることに驚きに近い気持ちも
起こるかもしれません。小説では、漫然と読んでいた中の細部に
実に緻密で繊細な表現が用意されていることに気づいたりもする
でしょう。説明しては伝わらぬはずのものをあえてことばで表現
するという自家撞着ともいえる作家の営為を感得する場合もある
と思います。もちろん試験の際はクールに峻別してカタログ的に
読んで連続的な判断をしていくことになりますが。いずれにして
もここまでの過不足のないマーキングで正しい読み方は担保され
ます。夏から秋の始めぐらいに達することができればよいでしょ
う。
次の段階は、高得点の分かれ目としてのスピードに関わってくる
添削です。正しく読むために過不足のないマーキングはそのまま
では試験の制限時間枠を考えるともう少し磨く必要を感じること
もあるでしょう。正しく読むマーキングとそれによって培った力
を更に数題のマーキング練習+添削をする中でパワーアップでき
たならば、手の動きと目+頭の動きがシンクロしている段階から
ステップアップして、目と頭の動きに手がついてこない段階を迎
え始めることに気づくでしょう。いかに手早いマーキングでも、
あなたの読解判断の目と頭の動きに追いついてこれない状態です。
必然的に論理や展開のつながりが、さながら囲碁の上級棋士の読
みのように、見えている自分になっている。これはちょっと高級
な悦びだと思います。これが自覚できた瞬間は快感です。数ヶ月
前のマーキング学習当初とは、同じ紙に同じ細さ・大きさで印刷
された文字の群れが、マーキングのトレーニングを経て、ずいぶ
ん違ったように見えているという発見。論理や展開、メリハリや
ポイントが浮かび上がって見えている驚き。ぜひ味わってほしい
ものです。必然的に、分かっているところはもうこの段階ではも
れなくマーキングする必要はない。かえって邪魔で、見えている
ポイント部分(評論でいえばポイントの段落のポイントの語句・
表現であったり、小説でいえばポイントの場面の中心となる描写
であったりするわけですが)のみをさらっとマークすればすむよ
うになります。その減らし加減をマーキングの添削ですり合わせ
ていきます。あくまでの読解すべきポイントをそらさぬよう、な
おかつ粗雑なマーキングに陥らないように指摘をします。この段
階でも説明的でありかつ紛らわしい誤答も含んでいる選択肢のマ
ーキングは的確さをキープしていきます。正しさから速さへのス
テップアップということになります。ここまでがクリスマスまで
に達したい段階です。得点率八割から八割五分路線です。
そうすると本番までの直前一ヶ月は、もう一つ次の段階に進むこ
とも可能となります。更に得点をアップさせる必要がある方のみ
トレーニングしてください。そうでない場合は(この時期には他
教科との関係で、現代文に時間をさける場合とそうでない場合と
に分かれる方もでてくると思います。残された時間の中で総得点
をアップさせるために時間の割り振りは各個人で違っているはず
です)あえて新しい段階に進む必要はありません。他教科の学習
の合間に、過去にメリハリつけてうまくマーキングした本文と設
問・選択肢を"ながめて"さらっと解く、解ける感覚を維持するこ
とにつとめてください。さて、満点ゲットへの次の段階に進む方
は…… おっと、この点は、その時期にその方にしっかりと伝授
することにしましょう。急いてはことを仕損じる。そったく同時。
この全体のスケジュールをざっとでも頭に思い描いた上で、今、
この時にすべきことにエネルギーを注ぐことにしましょう。
<ワードマーキング読解>センター現代文評論コースと同小説コ
ースで間もなくスタートです。
(小論文要約コースが必要な方は別途お問合せください。ニーズ
 に応じて開講します。評論マーキングの七割版+表現のまとめ
 方を志望分野別の頻出の課題図書そのものを購入いただき指導
 する方式を考えています。現代文マーキングコースを優先して
 指導することを予定していますので、それとのからみでニーズ
 があり指導の機会が確保できる状況の場合のみ開講することに
 なるかもしれません)
「読める、分かる、解ける」喜びを自分のものに! @とみなが
の<ワードマーキング読解>です。それでは、また。

夏04 2007.06.30 大学受験小論文 要約/通信添削コース開講

昨年9月に<ワードマーキング読解・スターターキット>の販売を
締め切った後、直接個別指導以外の学習方法は用意しないままで
情報発信のみブログやメールマガジンを中心に行なってきました。
予定より5日ほど遅れましたが、本日より通信添削コースを開講し
ましたのでお知らせいたします。まずは時期的なものから基礎マス
ターコースとして、
 1.センター現代文・評論・基礎マスターコース
 2.センター現代文・小説・基礎マスターコース
 3.大学受験小論文・要約・基礎マスターコース
の3コースです。受講を検討なさる方はサイト内の指導内容の概要
説明ページや学習の進め方ページをご覧いただき、必要に応じて
ショッピングカートページよりお申し込み下さい。
ご不明の点はお問合せページから何なりとお尋ねください。
なお、価格の改定や講座申込の締切は、予告なしに随時行なうこ
とがあります。この点は予めご理解ください。
当初より文章本文や設問・選択肢の著作権やそれにまつわる使用に
は注意をはらってまいりました。教室内の直接指導用にはプリント
アウトして使用できる許可をとったデータ集を利用してまいりまし
た。年々高まる著作権意識の中で、これまで通信添削コースの開始
が遅めになりましたのにも関わる重要な問題でした。
この点について通信添削コースでは、内容として<ワードマーキン
グ読解>の方法論とその実践コーチが主体となります。マーキング
の添削はその習得に密接不可分のものがあります。総合的に考慮し
て、今回は市販の過去問集を受講希望者には各自購入いただき、そ
れに練習マーキングしたものを当国語ラボにお送りいただき添削を
するという形をとります。現代文の場合は、マーキングの効果とし
ての「見て分かる、判断できる」マーキングに直結するよう、文字
の大きさや行間等が本番の本文・設問選択肢と同体裁のもの2種を
推薦いたしますので、各自どちらかを選んで購入のうえ学習に生か
してください。(価格はどちらも880円です)
また、大学受験小論文・要約・基礎マスターコースにおいても、同
じ趣旨から市販の冊子を1冊各自購入いただきます。(1,000円です)
その冊子へのマーキングを軸に添削指導をしていきます。
細かい点はサイト内「お問合せページ」からお問合せください。サ
イト内の説明ページの内容もこれから補充充実させていきます。
なお、すでにお知らせしております通りセンター現代文の各基礎
マスターコースは、9月末までの受講開始分で締切といたします。
その後は応用コース1,2を(クリスマスまでの学習用として)用意
いたします。※受験小論文・要約コースはこの限りではありません。
必要に応じて、基礎マスターコース修了の方を対象とする応用コー
スをご利用ください。
センター現代文・評論編と同・小説編は、正しく読み正しく解くこ
との学習を進め、さらに速く読む速く解くことに磨きをかけていき
ます。マーキングの量は理解の深さと反比例するかのように少なく
スリムになっていきます。
大学受験小論文については、主流である課題文提示型の要約対策な
らびに小論文一般学習としての資料読み込みに役立つ要約コースの
次には、素材メモを使用したリサーチ編、アイデアメモを活用した
発想・着想編、段落構成メモ(アウトラインメモ)を中心にすえた
論述編を用意いたします。3種のメモが説得力の高い合格答案づく
りに直結します。
開講日程が遅れたことのお詫びとともに、簡単ではありますが、各
通信添削基礎マスターコースの開講のお知らせといたします。
手で目と頭を鍛え、力をつけ伸ばしていきましょう。

夏05 2007.07.04 小論文設問の変遷:論述→要約+論述→要約+部分内容説明+論述

受験現代文で読解力が重要であることはもちろんだが、受験小論文に
おいてもその出題形式を見ると読解力が配点上年々重視されているこ
とが見てとれる。
当初の小論文は一語・一行のテーマ型であった。その後、なかなかそ
れでは内容的に採点に値する論述ができてこないということも多くあ
ったとみえて課題文型が増えてきた。(現在ますますその傾向は強い)
課題文がヒントともなり書きやすくなるはずだという考えであったろ
う。
課題文型では、別問で要約が問われる場合はもちろん、そうでない場
合でも論述の冒頭に要約をすべきである。課題文のポイントの把握が
できていることを明示した上で、論点を絞り問いを切り出して立論し
ていく構造を取ることが採点"して評価いただく"受験科目の答案構成
としてよりよいからだ。当然ここでは論述と表裏一体の関係にある要
約力が必要とされていることになる。
その後、論述も要約も力不足の受験生が多かったためか、間に1〜2問
の傍線部内容説明問題が用意される形式が増えている。要約のヒント
にもなり、試験科目としての実効性を担保する意味でも部分点が用意
でき、肝心の論述部分の充実を助けて受験生自身が力をより発揮しや
すいようにするというメリットが考えられたためであろう。
かくして、課題文傍線部内容説明問題(読解)+要約問題(読解)+
論述(論述)というスタイルが一定レベルの小論文の出題スタイルと
なっている。逆に考えると、小論文だからといっておきまりのパター
ンで「文章を書く(論述する)」ことができるようになればいいとい
うことでは足りず、合格点+αを勝ち取って力・可能性を評価しても
らうためにも、上記2種の読解力の重要性が高まっている現況だとい
える。
   ちなみに理系や文系でも経済系に多い資料提示型の小論文も、
   図や表、グラフの読み取りは変形の要約といってよいだろう。
   文章の要約とは着眼点や整理の仕方が異なるにしても、全体の
   同一傾向とその中の特異点の見抜きという意味においてポイン
   トを的確に摘示するという点で広義の要約というように発想す
   れば分かりやすくなることだろう。
課題文型の小論文が(処理の仕方でばらつきはあるが)全体の七割以
上と分析される現在、小論文の学習準備で論述にばかり偏ることなく、
要約+内容説明(=言い換え)の力を着実に伸ばしておいてほしい。
知識型ではないだけに目に見えて得点となってくるまでに少々時間が
かかる(厳密にいえばある程度の練習の量と、それによる応用力のあ
る方法論の脳みそへの定着のための時間=仕込んだあと製品化される
までの"醸造"期間が必要となる)。推薦入試は当然のこと二次試験で
の場合もこの夏に要約+内容説明の力をある程度仕込みをしておくべ
きだろう。他教科も含め秋には秋の学習がありセンター直前には直前
の学習があり、センター自己採点後のわずかな時間では間に合わない
と考えられる。(ルールの理解はできても本番で自ら使いこなせるほ
ど"醸造"されうま味をだせるようにまでなる間がない)
「要約」も傍線部「内容説明」も当然ながら<ワードマーキング読解>
が有効だ。その逆用・援用は「論述」のルール理解にも通じる。これ
まで遠回りに小論文の基礎部分(「自分」「社会」「大学」を知る)
について何度も書いてきたが、これからは次の段階として「リサーチ」
「発想」「構想・構成」から「論述」という直接的内容について講座
を通して情報発信していきたい。
3種のメモを使い回す<ハイブリッド小論文>、乞うご期待。

夏06 2007.07.14 小論文:論理的文章の論理は囲碁の論理

論理とは、つながりだ。
数学では数式のつながりで問いから答へ導かれる。これは
数学の論理。言語に寄らず数字と記号によるから万国共通
だ。少しうらやましい。
国語の論理は少し様子が異なる。数式が密着度が高いのに
比べて低いように感じられる。では、論理性も薄いのか。
いや、別の種類の論理だと考える方が正しい。たとえてい
えば囲碁に近いと思う。
囲碁は、一般に19×19の縦線と横線でできた交点を一目と
数えて、黒石と白石を交互に交点に打っていくことででき
る境界線(点の連続)で仕切られた陣地の広さ(目の数)
を競うゲームである。
      19×19=361の交点のどこに打ってもよく、
      どこから打ちはじめ、次にどこへ打っても
      よいというのが基本である。(コウなどの
      ルールはここでは取り上げないでよかろう)
      ただし、勝負に勝つためには、どこから打
      ち始め、次にどういう位置関係のところに
      打った方がよいか、という研究の成果があ
      る。定石といわれるものだ。(より動きが
      制約される同種のゲームとしての将棋では
      定跡となる)
       本来どこに打ってもよいものも、目的
      (より広い自陣の確保=勝負での勝利)の
       ために最善手とその連続があるわけだ。
      (文章と異なるのは、相手との勝負で相互
       に打つことから、自分の思い通りにばか
       りことを運べるわけではないという点が
       挙げられる)
       囲碁になじみの薄い読者は、主立った新
       聞朝刊の囲碁欄を見てみてほしい。
ある点に打った石と次に打った石が素人目には関連のな
い遠く離れた点に打たれたと感じる場合に、囲碁の習練
(トレーニング)を受けた人の目には、確かな連携が見
てとれる。場合によっては既に打たれた石同士の連携だ
けではなく、その先に打たれるであろう、あるいは打た
れるべき先の手までが見えてくる。傍目八目(おかめは
ちもく)という表現もある。この囲碁に見られるような、
ルールとトレーニングを経ない人には無関係でつながり
があるとは分からない状態が、習熟した人には習熟の度
合いに応じて見事な連携(=つながり=論理)を見抜け
てしまうという点は、国語学習に対してきわめて示唆
(しさ)に富む。
一見離れて連携がないようであっても、実は、高度な
論理によって密接な連携がとれていて、見抜くべき力
(それはルールの習得と応用力育むトレーニングの賜
物である)を持ってさえいればつながりある状態とし
てとらえることができ、それにより勝負を有利に進め、
結果として勝利に結びつけられる。読み取る方であれ
ば評論の読解にあたり、自ら場を作りだす方としては
小論文の論述にあたるといえるだろう。
離れていてもつながっていて論理を形作る。石ならぬ
文字を素材として構成される論理的文章のルール(要
素と構成)を学び、その見抜きや書き上げのトレーニ
ングを積むことで言葉による論理の力を高めてほしい。
どこに何が書いてあるか。どこに何をどう書くか。こ
れは、現代文と小論文、それぞれのポイントだ。
問題を粗く読み解き、答え合わせを急ぎ点数ばかりを
気にして一喜一憂するのではなく、初めて見る文章で
もこれまでの論理力の積み重ねから上に述べたポイン
トを一読百解できるようになろう。自分で見抜こうと
する手間を省いて解説を読み、その理由付けを読んだ
だけで分かったつもりで済ませるのではなく、根拠と
なる表現を自力で見抜けるようになろう。その見抜き
をもとに自分で論理的判断ができるようになろう。正
しくできるようになってきたら、後半からはより速く
できるように力を磨こう。そのために必要なのは、ル
ールの学習とそれを実際に自力で応用できるためのト
レーニングということになる。そのメソッドとしては
<ワードマーキング>が心強い。
「読解の定石スキルは<ワードマーキング読解>」と
いっておこう。
よく読める力はよく書ける力の醸成につながる。読む
ことなくして書くことはかなわない。読む力を生かし
て、そこに何をどう書くかというルールの学習とトレ
ーニングを加えて高い評価を受けられる小論文力が生
まれる。
    (合格レベルということからいえば、さほど
     高い能力が必要ではないのは皮肉な現状だ
     が、それはそれで短期でも合格力をつけや
     すいという点、一方でその力もつけずに入
     試本番に臨む受験生も少なくないという点、
     必要な準備をするかしないの差はかなり大
     きいという点は意識に留めておくべきだ)
じっくりというよりしっかりと言語力を磨こう。いた
ずらに時間をかけるのではなく、しかし本来使うべき
回数を経て、目と頭の力を分かりやすい手の働きでき
ちんと導きだせばよい。<ワードマーキング>なら、
それが可能だ。今ならマーキングの通信添削という学
習スタイルで心強い指導が受けられる。
文章の論理は囲碁の論理。大局観をもって問題にあた
ることができれば、現代文・評論でも小論文でも、に
こやかに勝負を終えることができるだろう。(現代文・
小説はまた違う視点・視座が必要だというのは既述の
とおり)
さて、<ワードマーキング読解・基本マスターコース>
修了生には、まもなく<応用コース>をお知らせする。
必要に応じて、他教科の学習やその他のスケジュール
と考え合わせて無理なく学習にとりくんでほしい。し
かるべきタイミングであらためてお知らせしよう。
http://kokugo.cc/
http://kokugo.jugem.cc/
http://blog.kokugo.cc/

夏07 2007.07.27 トリメモ/ハイブリッド小論文 書き方講座 販売予告

ここ二年間、各地の高校を訪問して講演してきた大学受験小論文の
探り方+見方・読み方+判断の仕方・考え方+構成の仕方+書き方
の一連の流れを、要約・基礎マスターコースの応用編として、近々
販売を予定している。
コンテンツメモ(素材メモ)+アイデアメモ(発想・着想メモ)+
アウトラインメモ(段落構成メモ)の三種のメモを使うことから
トリメモ。もちろんメモをトルという意味も併せ持たせている。
本番で下書き用紙や問題用紙の空間にマス目をささっと書いて使う
アナログのメモ(マンダラートの応用)+デジタル入力のデータべ
ースソフトアレンジのメモの両方を使うからハイブリッド。
順序かまわずのノンニリアの素材出し+順序立てて構成するリニア
な組み合せ・組み立て論述の両方を一連の流れとして使うことから
もハイブリッド。
ロジックは当然ながら、隠れスパイスとしてのセンシティビティも
発想・着想段階で重視することからもハイブリッド。
トリメモ ハイブリッド小論文。テーマ型小論文ならここからよし。
課題文型小論文なら、要約・基礎マスターコースの次のステップと
してまたよし。(要約をさらに題数多くトレーニングをするコース
も、ニーズによっては図・表・グラフの資料型解析コースも開設予
定)
随所に新しい見せ方を工夫して、なるべく分かりやすくお伝えした
いと考えている。

夏08 2007.07.31 現代文+小論文 読解トレーニングの最初は

現代文+小論文 読解トレーニングの最初は 2007.07.31 Tuesday
大学受験の現代文と小論文に向け<ワードマーキング読解>に
まつわる話を書いているこのブログですが、通信添削コースの
学習の進み具合はいかがですか。今日はここで読解トレーニン
グの最初の段階の様子について少し書いておきましょう。
最終的には、正しくかつ速く、本文のポイントと設問・選択肢
のポイントが見抜け、比較・照合し、判断・検証できていけば
よいわけです。八割〜九割〜十割の得点を目指します。
評論は評論の本文なり設問・選択肢なりのポイントを、小説は
小説の本文なり設問・選択肢のポイントを、正しくつかむため
にどういうところに着目し取捨選択していけばよいのか、速く
判断するためにどういう着目や比較の力を磨けばよいのか、と
いうことで、読解ルールを学習し、その使いこなしのトレーニ
ングに励むということになります。
そのためのメソッドの一つとしておすすめしているのが<ワー
ドマーキング>という手法。<単語>単位で、「要素」と「構
成」の二面から本文と選択肢にマーキングを施し、的確で無駄
のない読解を実現するものです。
ルールをテキストと音声解説で学習した後は実際に自分自身の
手でマークをつけていくわけですが、文章を見る力がまだまだ
弱い段階で、どこにつけるべきか、どういうマークをつけるべ
きか、分からずに手が止まりがちだという場合は、まず@とみ
ながのマーキングサンプルのマークを鉛筆でなぞってみること
をおすすめします。ほんの少しだけゆっくりめにマーキングし
ながら、なぜここにこのマークを付けているのか、と思い浮か
べながらやってみるとよいでしょう。違和感があれば、それは
大事にしてください。自分流のこれまでの読みが変革される糸
口であるはずですから。
一題マーキングし、二題マーキングし、@とみながの目と頭に
何が残っていっているか想像してみてください。マーキングは
マークを自由自在につけられるようになることと、その助けを
借りて的確かつ素早くポイントが読み取れるようになることの
二点をマスターすることを目的とします。マークのズレを修正
することで、見抜き・読み抜きから理解のズレを修正できると
いうことになります。
完全にではなくとも、ある程度慣れてきたら、次には、普通
の速度でマーキングをなぞってみましょう。リズミカルに、手
を休めることなく、囲んだり、横に引いたり付けたり、左右に
つけわけたりのマーキングの種類にも慣れてくるでしょうし、
その延長としての読みの判断も少しずつ分かってくることでし
ょう。さらには、(   )で大きくくくっているところは
スーッと手が )の後に飛ばす感覚も自信をもって味わってく
ださい。マーキングのリズム、メリハリ、緩急が少し感じてこ
れたらよい状態です。この段階で、あらためて読解のルールを
読み直し聞き直してみましょう。「目からウロコ」で、理解し
たと思っていた内容がまだ甘いもので、新たな気づきが得られ
ることも多いと思います。じんわりと自分の頭と目にしみこま
せていって次のマーキング読解に生かしてください。
もう一度こんどは自力でマーキングにトライしましょう。どう
ですか? ずいぶんとリズミカルに休みなく、手本と同じ箇所
に似たマークの付け分けができるようになってきたでしょう。
見抜きの目と頭が育ってきている証です。教わったメソッドが
自分のメソッドとして血となり肉となってきているイメージが
もてるようになってきます。
評論であれば「要点要旨把握シート」に、小説であれば「粗筋・
心情確認シート」に、それぞれ記入していってみましょう。こ
れは最初の数回だけやってみればいい作業です。あくまでも初
期の確認トレーニングですから。マーキングによりポイント
(要素と構成)が浮かび上がっていることが再確認できること
でしょう。マーキングで読める、マーキングでこそ読めると実
感できてくれば幸いです。そう感じられればシートはもう不要。
あとはひたすらマーキングのみでも頭の中にシートに近いもの
ができていきます(というか、解く際に該当箇所の本文マーク
を一瞥(いちべつ)するだけで瞬時に頭の中に再構成されます)
虚心坦懐、先入観をもたないニュートラルな状態で、評論は評
論の、小説は小説のルールに沿ってマーキングすればポイント
がつかめて的確な理解につながるという点をぜひ味わってくだ
さい。
そうしてマーキングの精度、それによる見抜きや判断の精度を
高めましょう。スピードはその後に上げていきます。まずは、
正しさ、内容面の的確さ重視です。スピードアップについては
別稿で後日述べることにしましょう。ステップアップしていく
ためにも、今やっておくべきことを重点的にやりましょう。
あわてる必要はありませんが、着実・確実に。

夏09 2007.08.01 大学受験小論文 書き方の学習開始の直前に

基盤となるべき事柄について、多少遠回りな感じがしたかも
しれないけれど書いてきた。全体図の概略は次の通り。
      <自分>-----<大学>
        <<社会>>
        ○○○○○○○
  <過去>--->>--<現在>--->>--<未来>
    -       -      +
Mac使いの先駆者の一人、林信行氏が記事で紹介している映
像作品を知ってほしい。<<社会>>の理解には、組織体・
システムという面と、構成する個々人という面があると思う。
組織体・システムというと漠然としてしまうので、着眼点と
しては、家族やクラス、部活、学校あたりから始めて自分の
住む街・地域社会、地方、国などへと発展させるとよい。そ
れとて全分野一括での把握は無理だから、環境とか言葉・文
化とかコミュニケーションとか、分類した(小論文の出題と
しての頻出分野)単位で大まかにとらえ、志望学部・学科が
絞られてくれば、関連分野を少し細かく補充学習するとよい。
構成する個々人は、代表的な職業人の生き方というミクロの
視点から日本人や人間というマクロのとらえ方に発展できて
いけばよかろう。いずれも終わりなきリサーチだから、パレ
ートの法則の章も思い出して、抜けている点や面が多くても
かまわないから実行できる範囲で探り、受け止めて、読み・
聴き・書くことを通して、理解・判断・記憶へと進み、自分
なりのものの見方・世界(社会)の見方・考え方へとステッ
プアップしていきたい。
組織体・システムとしての社会も、個々人の集合体としての
社会も、どちらも抽象的で概括的にとらえて漠然と分かって
いるつもりで終わってはあまり意味をなさないが、具体的か
つ新奇性のある気づきを導き出してくれるメディアは種類も
量も数多くある。(リテラシー、特にメディア・リテラシー
の問題は重要になってくるが、いわゆる鶏と卵の関係にもた
とえることができるだろうし、ここでは問題に取り上げない)
助けとなる書籍であれ、講話であれ、映像作品であれ、貴重
だ。これまでも、書籍やテレビ番組、Webサイトやブログ、
個性的でプロフェッショナルな人物などを紹介してきた。次
にリンクを貼った映像作品は劇的なスピードで変化する今の
<<社会>>の一実相についてきわめて示唆的である。
紹介記事
LinkIcon[あなたの世界観を変える、5つの映像作品<前編>]
紹介された映像作品の一つ(オリジナル版)
LinkIcon[Did You Know 2.0]
同作品の字幕版
LinkIcon[Did You Know2.0]
新たな視座・視点をもつと、今の社会が違って見えてくる。
そこから理解が深まることがある。考えが広がることもある。
刺激を得て、根っこから自分の力を伸ばすチャンスとなるは
ずだ。その一つのきっかけとなれば幸いだ。部分から全体を
突破せよ。

夏10 2007.08.03 小論文 参考ブログ記事:「フラット化する社会」

受験現代文と受験小論文について書いているこのブログ
だが、小論文編で述べた<社会><大学><自分>に関
して、偶然見かけたブログがたいへん興味深い内容だっ
たのでご紹介したい。
LinkIconhttp://nedwlt.exblog.jp/5413645
前回紹介したビデオクリップの内容も思い起こされる。
(トラックバックするにはエキサイトへの登録
 手続きが必要ということで、まず直リンクで)
返信という形で書かれた続編はLinkIconこちらだそうだ。

夏11 2007.08.29 受験小論文関連〜AO入試等の実施状況

最近の号はサイト内に再掲載はしません。ブログの掲載ページ
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夏12 2007.08.31 受験小論文:合格答案の性質

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